ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

それだけが、僕の世界 (主演) イ・ビョンホン

[内容]

元ボクサーの男性と、サヴァン症候群の弟が織りなすヒューマンドラマ。

                       (2018年 製作国 韓国)

[感想]

ジョハは、ボクシングの元アジアチャンピオンだったが、今は落ちぶれて

定まった家も無く、チラシ配りのアルバイトで生活していた。

 

ある日偶然、彼が子供の時に家を出て行った母親と再会するが、わざと無視する。

そのあと酔って歩いてるところを車にはねられてしまい、病院で目覚めるが幸い

軽症ですぐに退院。加害者の女性の豪邸に招かれるが、女性の母親から当たり屋

扱いをされて、怒って帰ってしまう。

 

いつもの生活に戻ってチラシ配りをしていると、そこにジョハを捜していた母親が

来て、本当は気が進まなかったが、請われるまま母親のアパートで暮らすことに。

そして母親の家に行って、そこで初めて弟のジンテの存在を知る。

 

ジンテは自閉症で、いつもゲームばかりしていたが、サヴァン症候群でピアノの

天才だった。このジンテ役の俳優が凄くて、まるで本当の自閉症者のよう。

ピアノも、本業はピアニストかと思うほど素敵な演奏を聞かせてくれるが、

普段はピアノとは無縁で、この映画の為に特訓したと知って、そちらにも驚いた。

 

いつも斜に構えているが、母親に捨てられて深く傷ついていたジョハ。

「何故置いてった!俺はずっと一人だった!」と訴えるジョハの涙が切ないが、

「ごめんなさい、私が生まれ変わったら、あなたの為に生きる。」と泣く余命幾ば

くも無い母親の言葉にも泣かされた。

 

今も刑務所にいるクズのような父親。キツいことも言うが心優しい周りの人達。

ジンテのピアノの才能を認め、表舞台に立たせてくれた事故の加害者。

強く心に感じるシーンが幾つもあるが、中でも、ピアノを演奏する弟を見つめる

ジョハの眼差しが、感動と慈愛に溢れていてとても良かった。お勧めの映画です。

それだけが、僕の世界 (字幕版)