[内容]
元ボクサーの男性と、サヴァン症候群の弟が織りなすヒューマンドラマ。
(2018年 製作国 韓国)
[感想]
ジョハは、ボクシングの元アジアチャンピオンだったが、今は落ちぶれて
定まった家も無く、チラシ配りのアルバイトで生活していた。
ある日偶然、彼が子供の時に家を出て行った母親と再会するが、わざと無視する。
そのあと酔って歩いてるところを車にはねられてしまい、病院で目覚めるが幸い
軽症ですぐに退院。加害者の女性の豪邸に招かれるが、女性の母親から当たり屋
扱いをされて、怒って帰ってしまう。
いつもの生活に戻ってチラシ配りをしていると、そこにジョハを捜していた母親が
来て、本当は気が進まなかったが、請われるまま母親のアパートで暮らすことに。
そして母親の家に行って、そこで初めて弟のジンテの存在を知る。
ジンテは自閉症で、いつもゲームばかりしていたが、サヴァン症候群でピアノの
天才だった。このジンテ役の俳優が凄くて、まるで本当の自閉症者のよう。
ピアノも、本業はピアニストかと思うほど素敵な演奏を聞かせてくれるが、
普段はピアノとは無縁で、この映画の為に特訓したと知って、そちらにも驚いた。
いつも斜に構えているが、母親に捨てられて深く傷ついていたジョハ。
「何故置いてった!俺はずっと一人だった!」と訴えるジョハの涙が切ないが、
「ごめんなさい、私が生まれ変わったら、あなたの為に生きる。」と泣く余命幾ば
くも無い母親の言葉にも泣かされた。
今も刑務所にいるクズのような父親。キツいことも言うが心優しい周りの人達。
ジンテのピアノの才能を認め、表舞台に立たせてくれた事故の加害者。
強く心に感じるシーンが幾つもあるが、中でも、ピアノを演奏する弟を見つめる
ジョハの眼差しが、感動と慈愛に溢れていてとても良かった。お勧めの映画です。