ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

読書感想『こころと脳の対話』(河合隼雄・茂木健一郎)

[内容]

心理学者と脳科学者が、心と脳について箱庭療法夢分析などを用いて対談。

[感想]

目次「心と脳の不思議」「箱庭と夢と無意識」「『魂』を救う対話」

 

上記の3つが其々19の項目に分けられていて、一つの事例は府遍に通じる

『シンクロ』はどうして起こるか相手の『魂』だけを見つめる等々、

どれも分かり易い例えを用いた解説で、スンナリ読み進むことが出来た。

 

“箱庭”には患者の無意識が表れると言われる。以前その様子をテレビで見たこ

とがあるが、プロと言えどその意味を正しく読むのは難しいだろうなと感じた。

箱庭療法 = 心理療法の一つで、砂の入った箱の中に、人や動植物、乗り物

        などの玩具を使って自由に何かを作ってもらう。

 

睡眠中に見る夢には、意識で選ばなかったことが抑圧された形で出てくるそうで、

人はそのようして、生きる中で無理をしている部分を調整しているのだとか。

これからはこの事を意識して自分の夢を分析するのも面白いかも知れない。

 

下記は“関係性”について解説された不登校の子の実例で、似たような話は結構あり

そうだ。

 

ある教師が“行動療法”を用いて、不登校の生徒(B君)に「まず玄関まで」次は

「あの角まで」という具合に、どんどん学校に近づけるように導いたところ、B

君はとうとう保健室にまで来られるようになった。

 

ところがある日、他の先生に「ここまで来れるんやったら、教室に行って、勉強

せい!」とやられ、驚いたB君は家に帰ってしまい、それ以来学校には来られな

くなってしまった。


ここで大事なのは、「“関係性”とは心のつながりである」ということ。

教師とB君との関係性で行われていたことが、他の先生の不用意な言葉でそれが

切れてしまい、元の木阿弥になってしまったわけだ。

 

教師に限らず大人は皆、せっかく積み上げたものを短絡思考でぶち壊してしまわ

ぬよう、意識して気を付ける必要がありそうだ。

 

下記の3つは、科学の世界の人達はこれとは正反対の思考の人が多そうなので、

少しホッとした気持ちになった言葉だ。

 

脳科学がこれだけ進んで-(略)-それで心が分かると言うのは間違い。」

「その人を本当に動かしている根本の『魂』…これと自分は勝負している。」

「プロファイリングに引きずられてはいけない。それは魂とは関係ない。」