ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

私が見聞きしたアルコール依存症の人達

アル中の人を初めて見たのは高校生の時だった。学校から帰ると家の前に近所の

おじさんが立っていたのだが、身体はユラユラと定まらず目が据わっていた。

通り過ぎようとしたら、突然「おい、千円貸してくれ。高校生ならそのくらい持

ってるだろう。」と言われ、咄嗟に「ありません。」と言って家に逃げ込んだ。

後で母に聞いたら知る人ぞ知るアル中で、何故かその日以来姿を見なくなった。

 

その後もこの齢になるまで、電車の中や花見の場などで、泥酔してクダをまいた

り大声で悪態をつく男性を何度か見たことがあるが、何故あんなになる迄飲むの

か。家族はたまったものではないだろう。

 

夫が断酒会の会員だという知人が、テレビからこれでもかと流れるお酒のCMを

嘆いていたことがあった。酒の広告に厳しい規制を設けている国が多い中で、確

かに日本は野放し状態だ。

お酒で身体や人生を壊してしまう人の多さを考えたら、「悪いのは酒に呑まれて

しまう人間の方」…なんて言ってる場合じゃないと思うのだが。

 

以前囲碁を習っていた時のこと。碁会所には午後一番の空いてる時間帯に行って

いたのだが、そこで時々見かける老人がいた。その人はいつもお酒の匂いをプン

プンさせていて、先生から「昼間っからそんなに飲んでたら駄目だよ。」と注意

されることもあった。

 

実はこの人は知人(Оさん)の親戚で、腕の良い職人だったがアル中のために妻子

と別れ、その後病気をして今は生活保護で暮らしているのだとか。

私が碁会所に通い始めてから数年後に亡くなったのだが、Оさんが彼の息子さん

に「葬式をあげてやってほしい。」と言ったところ、遺骨は引き取ってくれたが

「母も私も酒乱の父から苦しめ続けられました。」と言って断られたという。

 

お酒を飲むと暴れる…という人は少なくないようで、別の知人女性は「中学の時

迄、アル中の父親からボロ雑巾のように殴られていた。」と話していた。

母親は彼女が赤ん坊の時に逃げ出して離婚。2つ年上の兄は、彼女が殴られ始め

るとソロ~ッと二階に上がって行ったという。

 

その後不良仲間とつるんでいた時期もあったそうだが、恵まれない人を思いやる

心は人一倍強く「自分、親に見捨てられた子だから、他人事とは思えないんだぁ。」

と笑っていた。

 

事程左様にアルコール中毒は心身を蝕み、家族を苦しめ、それなのにどこでも

簡単に買うことが出来るから厄介だ。