ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

(読書感想)『障害児3兄弟と父さんと母さんの幸せな20年』  佐々木志穂美

[内容]

障害を持って生まれた息子達の成長と、葛藤の日々を綴ったエッセイ。

[感想]

冒頭に、父親から1歳の長男に宛てた8頁にわたる手紙がある。そこからは

子供が当たり前に持つ機能と可能性を、医者から一つ一つ否定されていった時

のショックがヒシヒシと伝わってくるが、それ以上に親としての愛情の深さに

胸を打たれる。

 

(長男)… 重度心身障害児で虚弱体質。治療の為に手術を繰り返す。

   健康管理と弟たちの育児の両立に限界を感じ、重度心身障害施設に入所。

(二男)… 高機能自閉症。高校は普通科の進学コースを卒業。

(三男)… 知的障害を伴う重度の自閉症。一時期自傷と他害の時期があった。

 

兄弟姉妹が同じ障害を負っているというのは時々耳にするが、本書のように

全員が別々の障害を持っていることは珍しく、この子達を育てるのが並大抵の

苦労ではなかったことは想像に難くない。詳しい事は書かれていないが、学校

ではイジメがあったり、心無い対応をする教師もいたようだ。

 

そんな中、支えてくれる医療関係者、理解し励まし合える仲間に感謝し、

「障害児の親になれて良かった」「ただ一緒にいたいだけ」と言い切る著者。

明るく綴られた文章の陰に、涙が隠れているのを感じて切なくなる時もあっ

たが、迷いながらも母親としてタフに頑張る姿には、尊敬しかない。

 

著者は知人から「佐々木さんだから障害児3人の親に選ばれたのよ。」と言われ

たことがある。「何かの天罰だ」などと言う人に比べたら思いやりのある言葉で

はあるが、いずれにせよ 、本当に天から罰せられたり選ばれたりすることがあ

るのなら、身に覚えのない本人にとってそれは、どちらも理不尽でしかない。

ちなみに著者自身は、“子供達の事は偶然という名の運命”と受け止めている。

 

しかし苦難の多い人の中には確かに、偶然でも試練でもなく、天から託されて

の位置にいると思われるような頑張りを見せる人がいる。あの世の法則など知る

由も無いが、多分それは彼らの魂の質とレベルの高さに関係しているのだろう。

 

以下に本書から印象深い言葉を幾つか抜粋。

 

「『困った子』はその本人こそが『困っている子』」

「障害があったからこそってものを、一つでも沢山見つけよう。そして、今日も

うんとばかみたいに大口あけて笑おう。」

「得意なものがない人間なんていない。本人が輝くためにそれに気づいてやらな

いと。」

 

長男の洋平君は、20歳の誕生日を祝ってもらった1週間後に突然亡くなっており、

著者は最後に「私たちは洋平を支えているつもりでしたが、実は支えられていた

ことを痛感しています。」「私たちは、ずっと五人家族だ。」と書いている。