ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

読書感想『ブラック企業/日本を食いつぶす妖怪』(今野晴貴)

[内容]

ブラック企業の実態を解明し、被害を受けた当事者に対処法を指南。

[感想]

著者はNPO法人POSSE(ぽっせ)の代表で、若者の労働・貧困問題に取り組んで

いる。本書はベストセラーとなり、大佛次郎論壇賞を受賞。

 

多くの実例と共にブラック企業の様々なやり口が語られているのだが、その所業

は本書の題名通り正に“小者の妖怪”。 以下にその中から5つ抜粋。

 

・「大量採用の後に“選別”して大量解雇。」

 この時従業員はクビにするのではなく、意図的に自己都合退職に追い込む。

 

・「パワハラで人格破壊」

 様々なやり方があるが、本人は「仕事が出来ない自分が悪い」という気持ち

 にさせられて、精神疾患を発症したり中には自殺を選ぶ人もいる。

 

・「長時間労働・過酷な労働」

 心身ともに疲弊してウツを発症したり、過労死することも。残業代は出ない。

 

・「名ばかり店長

 権限は一切なく、管理職という肩書のために残業代も支払われない。

 

・「雇用ではなく個人請負形式」

 従業員と全く同じ働き方をさせながら、社会保険や残業手当の付かない“個人

 請負”として偽装契約を結ばせる。

 

その他、「雇用保障と福祉は正社員にだけ」「正社員の為だけの組合」…など、

一筋縄ではいかない問題が山積みで、少しずつ改善されてはいるようだが、今も

本書が出版された10数年前と大差は無いようだ。

 

ブラック企業によって心身に不調をきたしたり、退職に追い込まれる人が増える

助成金などがかさみ、国の負担が増えるという現実がある。

そうなると国としても、ブラック企業の影響は看過できない問題となる。

 

2017年より厚生労働省から「ブラック企業リスト」が公表されており、

2019年には「働き方改革関連法」が施行されたので、就職活動の前にはこうい

ったものも参考にした方が良いかもしれない。

 

※「ブラック企業リスト」は、厚生労働省のHPで閲覧できる。

  (正式名称「労働基準関係法令違反に係る公表事案」)