[内容]
日本で働く出稼ぎ労働者の、過酷な労働と搾取の実態を告発した本。
[感想]
本書では主に、中国とブラジルからの労働者の現状について書かれている。
建前は研修だが、安上がりでいつでも解雇できる労働者として、理不尽な扱
いを受けている中国人労働者。
昔から、不況時には真っ先に解雇されてきたブラジル人労働者。
良心的な会社も沢山あると思うが、中国人の場合はあくまでも研修生という
ことで、給料は日本人の3分の1以下という企業も珍しくない。日本での生
活にはそれなりのお金が掛かる筈だが、雇う側の考えは「日本人並みの経
費が掛かるのなら、わざわざ外国人を雇う必要は無い。」ということらしい。
最初から使い捨てが目的で雇う企業の倫理観が問われるが、それでも日本で
働く外国人労働者は100万人に上るそうで、受入れ企業の半数は従業員10人
以下の零細企業だとか。
※上記は2010年出版当時の数字で、2019年現在の労働者数は165万人。
母国の斡旋会社に借金をして来る人も多く、そのため劣悪な環境でも我慢
せざるを得ず、パワハラ・セクハラも泣き寝入り。
斡旋会社が不当に利益を得ているケースや、日本側の受け入れ機関である
協力機構や、協同組合などの問題点も指摘されている。
賃金の低さや劣悪な労働環境については日本政府も把握していて、2017年
に施行された法律(技能実習法)では「技能実習は、労働力の需給の調
整手段として行われてはならない」という文言が明記されている。
今日本にはコロナで失職し、帰国も出来ずにいる外国人労働者が大勢居る。