ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

読書感想『老後親子破産』(NHKスペシャル取材班)

[内容]

親子共倒れの老後破産を取り扱ったNHKスペシャル番組を書籍化。

[感想]

年金をもらいながら安泰に暮らせる筈だった老人が、何故子供との同居で共倒れ

になってしまうのか。

 

親の介護の為に退職や転職をする人は、年間10万人にも達するそうで、彼らの

殆どがワーキングプアとなってしまうという現実がある。

又、本書では1990年代後半に就職で都会に出た若者が、20数年後に仕事を失い

親元に戻ってくるという“逆流現象”が起きていることにも注目している。

 

様々なケースが取り上げられているが、その中から印象深かった2つをピックア

ップ。

 

①〈生活保護を切られ、自分の医療費を節約する父親〉

一人暮らしの時は医療費免除、生活費の補助もあったが、息子との同居により

世帯収入が生活保護水準を上回ると判断された。しかし息子の収入は低く殆ど

当てに出来ない状態。それでも息子は、親の家を出て自立することが出来ない。

 

②〈誰にも知られずに亡くなった母子〉

息子は介護の為に離職。四六時中母親の介護に追われて、時間的にも経済的に

も余裕が無く、自分の為に病院に行くことは出来なかったと思われる。

ちなみにこの2人の場合、息子の方が先に病気で亡くなっている。

 

親子共倒れの問題の根深いところは、家族で支え合おうとして問題を抱え込んで

しまうところだ。例えば中高年の子供が引きこもりの場合、共倒れ寸前の状態で

ありながら、近所に知られたくないとひた隠しにするケースが多いという。

 

40代半ばの団塊ジュニアが、自立せずに親に頼って暮らしているケースも多い

ことから、専門家の中には「将来は3世代に渡って“負の連鎖”が起きる可能性

もある」と予測する人もいる。

 

この状況を解決すべく、2015年には「生活困窮者自立支援法」が施行され、国は

中高年の就労支援に力を入れている。

 

しかし老後親子破産に陥らない為の最後の手段として、結局は世帯を分離するし

かないことも多いとか。例えば、自治体が必要と判断した場合は、高齢の親が生

活保護を受給できるよう施設への入所措置をとり、子供の側には就労支援を行う

…といった具合だ。

 

私の場合同居の3男には、私に介護が必要になった時は取り敢えず次の3つは

守るようお願いしてある。

「決して一人で抱え込まない。」「仕事をやめない。」

「延命措置はせず、治療と私の生活費は年金と私の預金の範囲内で賄う。」

あとは、介護が長引かないよう天に祈るだけだ。