[内容]
睡眠中の脳や身体には何が起こっているのかを、医学的に分かり易く解説。
副題『睡眠の不思議から脳を読み解く』
[感想]
睡眠は脳全体ではなく一部分で起きており、睡眠が進化の過程で無くなること
はないと考えられているとか。
このような考察の他、遺伝性の不眠病や夢遊病等、睡眠にまつわる様々な症例
を基に睡眠の謎が解き明かされている。
私の場合エピソードの中でも特に興味を引いたのは、「眠りながらプロ並みの絵
を描くが、実は覚醒時には自分の絵を模写する事すら出来なかった人」の話で、
本書に載っていたその絵の素晴らしさには見入ってしまった。
「睡眠以外で身体機能を回復させることはできない。」…これは私も日頃から実感。
たまにパソコン作業の途中で、リクライニング椅子に座ったままうたた寝をして
しまうことがあるのだが、ちょっとした睡眠不足や疲れならベッドで体を横たえ
ているよりは余程解消される。
「空腹は覚醒レベルを上げて意識をクリアにする」…私のような凡人はお腹がす
き過ぎると、色々な食べ物が頭の中を飛び交って却って気が散ってしまうので、
これは程度問題かも(笑)。
満腹の場合は逆に眠気を誘われることが多いので、昼食後にお昼寝をするのは
自然な事かも知れない。但し食後の睡眠は胃腸の働きを低下させてしまうそうな
ので、仮眠程度にするのが良いようだ。
「睡眠不足による記憶力の低下」…高齢になるほどこの傾向は強くなるようで、
私は寝不足で頭が回ってないと感じた時は、時間に関係なくいつでも眠るように
している。反対にネガティブな感情にまつわる記憶だけはしっかり残ってしまう
そうなので、その点も気をつけたい。
本書では他にも「イルカや渡り鳥は脳が交互に眠る。」「金縛りは、夢の中の行動
がそのまま身体の反応として表われるのを防ぐ為。」…等、興味深い話が幅広く取
り上げられており、最終章の睡眠について描かれた映画や小説の解説も面白かった。