[内容]
多くのデータを元に日本の現状を解説しながら、日本には今、内外から様々な
危険が迫っていると警告し、解決策を提示している。
[感想]
著者はドイツ在住の音楽家、作家。
“無邪気な日本人よ”の呼びかけに表れているように、このまま手をこまぬいて
いては衰退どころか亡国に繋がる…という著者の強い危機感が伝わってくる内容。
真っ先に挙げられているのが “日本人の国防意識と危機感の欠如”。
「日本国民は、台湾有事の時は米軍が守ってくれるのではないかと願っている。」
「中国の日本侵略など有り得ないと思っているのはおそらく日本人だけ」「これで
独立国と言えるのか」とバッサリ。
最近見たネットのアンケートでは、台湾有事に備えるべきと答えている人が殆ど
だったが、具体的に何かしているかというと確かにそういう話は殆ど聞かない。
“日本の国土売ります、でいいのか?”
日本国全体で、ほぼ北海道に相当するほどの広大な面積が外国人(主に中国人)に
売られているという。著者は、欧米と比べて日本の法律は甘いと指摘。
いずれ国内のあちこちに、中国人の治外法権地域が出来るだろうと予見している。
“移民と難民の相違に無頓着”
2015年頃から、難民のEUへの流入に歯止めが効かなくなった事を引き合いに、
「国益を守るという観点無しに安易に外国人を入れ始めると、国家消滅につなが
る一番の近道になってしまう。」と警告。
又、日本の医療保険には写真が添付されていないことを幸いに、就労外国人の間
で使いまわしが行なわれており、更にその保険を彼らの母国にいる家族も利用し
ていることを問題視。
「荒川区では2018年、住民の人口比では中国人は約3%なのに、海外療養費の支
払い件数に占める中国の割合は37.5%だった。」…これには私も驚いた。
“カーボンニュートラルと地球温暖化危険論の問題点”
「地球の温暖化に大きな影響を与えているのは定期的な太陽の活動で、CO2の影
響は微小である」と、このように考える学者は少なくないことを挙げて、「カーボ
ンニュートラルに近付こうとするなら、化石燃料を極力再エネに変えなければな
らないというが、再エネは安定性が無く主力電源には絶対になれない。」と断言。
※カーボンニュートラル=地球温暖化対策として、温室効果ガス排出量を減らし、
出来なかった分については吸収・除去することで実質ゼロにするというもの。
著者は原発推進派で、日本の独立には原発・石炭火力発電が必要だと考えている。
更に「近代の戦争はエネルギーをめぐって起きたものが多く、日本も第二次世界
大戦の時のように、エネルギー不足で墓穴を掘らない事が重要。」と訴える。
本書では他に「奪われる寸前の尖閣」「電力の自由化の罠にはまるな」等、興味
深い話が掘り下げられているが、著者とは異なる意見の人も多いので、今度は
そちら系の本も読んでみたい。