ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

昔に比べ家事は格段に楽になったけれど

私が小学校低学年の頃、母の年代の女性の普段着はまだ和服が多く、母が

“張り板”を立てて洗い張りをしていたのを憶えている。

※ 洗い張り = 着物の糸をほどいて布地を洗い、糊付けした後で張り板

      (約40×230㎝)に貼り付けて、乾いたらはがしてもう一度縫い直す。

 

戦後暫らくの間、世のお母さん方は相変わらずタライと洗濯板で家族の衣類を洗

い、家の中はホウキで掃いて雑巾掛け。

冷蔵庫はまだ無かったので、毎日近所のお店で買い物して食事を作り、冬が来る

前には母も樽一杯に沢庵を漬けていたものだ。

これに子育てが加わるのだから、昔の家事は今とは比較にならない程大変だった。

 

しかし私達団塊の世代が高校生になるころから、冷蔵庫、洗濯機、掃除機などの

電化製品の普及で、主婦の家事時間は少しずつ減少していった。

 

家事に時間が取られなくなった分、女性達は出産後も子育てをしながら働き続け

るか、あるいは子供が幼児期を過ぎる頃にパートなどに出るのが一般的になった。

 

そうなると当然、夫も妻と共に家事を担うことになる…と思いきや、男性の家事

時間は依然として少なく、せいぜい買い物かゴミ捨てくらいなんて人も珍しくない。

しかし、いくら電化製品が普及して主婦の自由時間が増えたとは言え、その時間を

収入を得るために使い更に家事を一手に引き受けていては、昔の専業主婦よりしん

どいかも知れない。

 

まして子育ては、家事のように「今日はちょっと手抜き」という訳にはいかない。

なのに、「女と男では仕事の重要度が違う。」「俺の方が稼いでいる。」と言って、

昔ながらの亭主関白を貫き、それで離婚に至るケースも少なくないとか。

 

背景に、今の若い夫達にはまだまだ母親が専業主婦だった人が多く、「家事は女が

するもの」という決め付けと、家事の大変さを分かってないこともあるようだ。

 

スーパーには様々な出来合い食品が品揃えされており、外食産業も盛況で選り取り

見取り。妻がいなくとも、お金さえあれば食べるには困らない。

しかし家事スキルの無い男性が、離婚や妻に先立たれた時に家の中がどんな状態

になるかは想像に難くない。

 

以前高齢の知人女性が、娘さんから「お父さんより先に死なないでね。(面倒見

切れない)」と言われたと苦笑いしていたことがあったが、こうなるともう夫婦

だけの問題ではなくなるので、夫の家事については早めに夫婦で話し合って、

ある程度は出来るようにしておいた方が良さそうだ。

 

あと、夫達ほど話題に上る事はないが “あるある”なのが、ずっと実家暮らし

の結構な年齢の娘・息子が、母親に家事を丸投げしているケースだ。

こちらは深刻な争いになることは滅多に無いようで、お互い納得しているのなら

それで構わないとは思うが、親が元気だから可能なこと。

娘や息子に家事代行を頼める程の収入があるのなら良いが、将来彼らが家事スキ

ルの無い事で困ることになる可能性は高い。