ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

『ネコロジー(坂崎幸之助)音楽専科社』感想 

[内容]

人気バンド アルフィーのメンバーが書いた、ノラ猫保護のノンフィクション。 

副題は『ノラ猫トイとその仲間たちの物語』

[感想]

著者が関わった沢山のノラ猫達の話が続き、軽妙な語り口で笑わせてくれるが、

涙なしでは読めない箇所も。猫達の写真がいっぱいで、可愛さもひとしおだ。

 

猫の世話は誰に頼んでるのかな?と思って読み始めたので、最初の頁の

「僕がノラ猫を見つけては里子に出したり、避妊・去勢の手術を施したり、

病気の猫を家で飼ったりしてるのを知っていて…(略)。」という言葉に驚いた。

 

著者には自身が“秘密結社”と呼ぶ、個人でノラ猫の救済をしている人達と

の繫がりがあり、その中には一人で2000匹近くのノラの面倒を見てきた女性

もいて(避妊去勢手術も全部自腹)、彼女達の行動力にも目を見張った。

 

昔から「猫が好きな人も嫌いな人も、ノラ猫がいなくなることを望んでるのは同

じ。」と言われる。その解決方法として、片や排除を考え、片や不妊手術によって

今ある命は全うさせたいと考える。

 

その違いが軋轢(あつれき)を生じさせており、著者もノラ猫の過酷な現実の

説明の後に「正しいことをしてるという自負がある割には、けっこう肩身の狭い

思いをしてるところが、ちょっとつらい。」と書いている。

 

印象的だったのは「でも特に猫が好きだというわけでもない。(略)例えばノラ豚

が増えてたら、豚が何匹も僕のベッドで寝てただろう。」という言葉。

ノラの保護は、たまたまノラ猫があまりにも増え過ぎていたからの行動で、実は

両生類や爬虫類が大好きで沢山飼っているそうだ。

 

2016年に河出書房新社から新版が出ており、印税は全てノラ達の避妊、去勢、

エサ代に充てられる。