[内容]
離婚寸前の男性が家政婦の嘘から訴訟に巻き込まれ、そこから其々の家庭の
問題点と、イラン社会で生きる難しさが浮き彫りにされていく。
(2011年 製作国イラン)映画賞受賞
[感想]
銀行員のナデルは、英語の教師である妻から、娘(11才)の教育の為に海外に
移住したいと言われていた。しかしナデルはアルツハイマーの父親を心配して
首を縦に振らず、反発した妻が家を出て行った為 離婚の危機に陥っていた。
ナデルは、自分が留守の間父親の面倒を見てくれる家政婦を雇う。
ある日父親が意識不明になったことで、家政婦と言い争いになり、激高して
彼女を無理に玄関から押し出してしまう。
悪いことにその夜家政婦は流産してしまい、夫に責められることを恐れた彼女
は、流産をナデルのせいにして夫婦でナデルを告訴することに。
この女性は下層階級出身で、夫は無職の上に借金持ち。しかもひどく短気な
性格なのだが、信仰深い彼女の行動の基準は宗教の戒律なので、夫は“絶対”
だった。
訴えられたナデルは、逆に父親の件で家政婦を告訴。家族や関係者を巻き込
んでの論争が始まる。しかし誰もが保身や家族を守る為に嘘の証言をし、頑と
して自分の意見を曲げず、裁判は混沌とした状況になる。
ナデルの娘はとてもしっかりした子で、大人に振り回されて流す涙が不憫。
日本も封建時代は似たようなものだと思うが、この映画はイスラム教とイラン人
の国民性、貧富の差、男尊女卑の様がよく描かれていて、そのあたりも興味深
く観ることが出来た。