[内容]
副題は『団塊医師の小さな異議申し立て』 医療現場や社会の問題部分に
焦点を当てて、真面目に時にユーモラスに解説している。
[感想]
幅広い内容で、事例も豊富。病や健康・病院の在り方に関してのエピソードも
興味深かったが、それ以外の話も面白く、且つ考えさせられた。
特に「アホの分類」と「美徳の分類」、ラストの “茨木大使”としての出身地の
紹介コーナーは、納得し笑いながら読んだ。
ズバッと切り込んだ話も多く、その中で印象に残ったものを幾つか。
「医療費の大半が、外資系医療品メーカー、販売を任された国内メーカーを介
して、“円”を海外に流出させている。」
「裁判で弁護士が、犯人を責任能力のない精神障害者に仕立てようとするのは、
精神障害者に失礼である。」
「危機管理能力の相当部分、“資質”と呼ぶべきものに属してるように思う。古人
はこれを“器”と言ったのかも知れない。」
中でも本当にそうだなあ…と思ったのは、「顔の細工は人間の善良性を必ずしも
反映しないが、<賤>は顔にでる。」 という言葉だ。
“賤”は、育ちや職業、暮らしなどを指すものではなく、いわゆる心根の賤しさ
のことだと思うが、私もたまに、(主に報道でだが)責任ある立場の人のそれに
ドキッとすることがある。
性格や生き方、品性は、年を重ねるほどに顔に刻まれていくとも言われ、改め
て自分の顔を鏡で見てみたら、何かボンヤリと緊張感のない顔で…鏡は正直だ
なと、1人笑ってしまった^^;。