[内容]
禅の教えから学ぶ生き方が説かれている。
副題は『禅的、「比べない」「責めない」「こだわらない」生き方』
[感想]
著者は美術大学の教授で、庭園デザイナー。禅僧でもある。
他にも多くの本を出しており、『心配事の9割は起こらない』はベストセラー。
人は皆、縁の中で生かされていることに気付き、誰かと競うのではなく磨き合
う生き方をせよと説く。又、執着せずに競争からたった一歩離れるだけで、驚
くほど大事なものがたくさん見えてくると言う。
「自分に誇りがあると一歩引ける」「見えないところほど手を抜くな。」
「野心が行き過ぎると“臭気”を放つ」等々、心に響く言葉や戒めになる話が
禅語と共に語られており、経験以外に自分を成長させてくれるものはないと、
考えているばかりでは駄目なことも教えている。
しかし、この世は正に競争社会。 昔「15の春を泣かせまじ」という言葉が盛
んに言われたことがあるが、まず人生で最初に誰もが否応無しに直面させられ
るのが、高校受験だ。皆、少しでも偏差値の高い高校を目指し、結局は行きた
い高校ではなく、どこなら合格できるかで選ぶことになる。
少しずつ変わってはきているが、高校受験制度には色々問題点がある。
だが実は、受験に限らず競争は悪い面ばかりではない。上を目指して努力し、
他の人と刺激しあうことによって自分の位置が分かり、成長出来ることがある。
著者も、自分さえ良ければと蹴落としたり、嫉妬したり、大事なことを見失うな
どの間違った競争を戒めているのであって、磨き合いなさいと言っている。
本書の中に「陰の徳を積むのがもっとも尊い」という言葉があった。
私は、秘かな善行を行える人にこそ、出来れば陰徳にこだわらず、周りの人間
を育ててほしいと思う。徳積みとかに関係なく、善いことは見習いたいので。