[内容]
人の心の奥底にある叡智を引き出すための考え方と実践方法を、著者の体験を
基に解説。副題『逆境を越え、人生を拓く五つの覚悟』
[感想]
以下に、副題にある“五つの覚悟”と本書の主題をまとめてみた。
「人生で起きる問題はすべて自分に原因があり、起こることすべてに深い意味が
ある。 いまを生き切る、すべては導かれているという覚悟を定め、力を尽く
して歩むと、不思議な形でその逆境を越えるための『叡智』が与えられる。」
この齢で自己啓発本など遅きに失するが、興味深い内容で一気に読み終えた。
著者は32歳の時に死に至る病に襲われ、絶望の日々を過ごしていた。
しかし禅寺での接見で禅師から「 過去は無い 未来も無い 有るのは永遠に続
く いまだけだ いまを生きよ! いまを生き切れ! 」と言われ、目が覚める。
大事なのは、偶然と見える出来事の中に“大切な意味”と“自分を導く声”を感じる力
で、これを磨いていくと不思議なシンクロニシティが起こり始めるとか。
著者は難題や逆境に直面した時は、心を静寂にして「この問題、導きたまえ」と
全託の思いで祈る。すると必ずと言って良いほど“直観”が閃くそうだ。
ちなみに直観力は誰の心にも眠っており、問われているのは“覚悟”。 但し、
小さなエゴや負の想念に囚われている時は、叡智は湧き上がってこないらしい。
著者は又「志と使命感を持った人は、必ず大いなる導きがある。」と言い、この
感想文では割愛したが、不思議体験やエピソードも沢山語られている。
私が不思議な体験をした時も、何者かの手助けを感じた事はあった。しかし私
の場合は「あなたの人生だ。自分で答えを出しなさい。」と言われた気がした。
本書を読んで思ったのだが、それは多分、私には大きな志も使命感も覚悟も無
かったからだろう。(それが駄目とは思わないが)
私が著者に対して一番凄さを感じたのは、これだけの頭脳と実績がありながら、
謙虚で懐が深いところだ。きっと魂のレベルも格段に違うのだろう。
最後に、心に残った言葉を幾つか抜粋。
「人生に成功は約束されていない。だが成長は約束されている。」
「 覚悟を持てば才能が開花する。つらい逆境は成長の糧となる。」
「人生で与えられた逆境をどう解釈するか。それが我々の人生を大きく変えて
しまう。」
※YouTubeで、著者の講演を聞くことが出来ます、(視聴回数550万超)
『田坂広志が語る「すべては導かれている―逆境を越え、人生を拓く五つの
覚悟-」あすか会議』