[内容]
軽犯罪を繰り返す障害者の実状と、刑務所・裁判所・福祉の問題点を追及したルポ。
[感想]
著者は元国会議員で、自らも服役経験者。獄中で障害者をサポートする仕事につき、
それをきっかけに福祉の問題に取り組むようになる。
障害が軽度故に家族からも福祉からも見放されて、悲惨な状況に置かれている人
が大勢いるという。 この社会に彼らの居場所は無く、犯罪を繰り返して、結果的
に刑務所が保護施設となっている。(現在は少し改善されているそう)
本書では軽犯罪から殺人事件まで様々なケースを取り上げ、彼らを食い物にする
人達の存在や、冤罪についても語られている。
「日本語対応の手話と聾唖者の手話は違い、聴者がキャスターの手話ニュースは、
先天的な聾者には殆ど理解できない。」…こんな事も書かれていたので調べてみた。
・「日本語対応手話」(以下Ⓐとする)…日本語の語順通りに表現するもので、日本語
が出来る中途失聴者や難聴者向けのもの。
・「日本手話」 … 先天的な聾者の多くが最初に獲得する言語で、日本語の語順と
は対応しておらず、Ⓐとは全く別物。
※テレビの記者会見や、ニュースに付く手話通訳は、殆どがⒶを使用。
1990年代まではⒶが正しい手話とされ、聾学校では日本手話は蔑まされ禁止されて
いたという。しかし、先天的に耳の聞こえない乳幼児にⒶの手話は理解できず、子供
の知識や情緒を健全に育てるためには、日本手話を習得してから日本語の書き言葉
で授業を受けるのが良いそうだ。(違う意見もある)
著者は言う。犯罪を繰り返す障害者は、加害者でありながら被害者でもあると。
だが彼らだけではなく、多くの障害者がこんなに風に理解の無い扱いを受
けてきていて、今も多くの問題を抱えている。 解決の道のりは険しそうだ。