ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

累犯障害者  (山本譲司) 新潮文庫

[内容]

軽犯罪を繰り返す障害者の実状と、刑務所・裁判所・福祉の問題点を追及したルポ。

[感想]

著者は元国会議員で、自らも服役経験者。獄中で障害者をサポートする仕事につき、

それをきっかけに福祉の問題に取り組むようになる。

 

障害が軽度故に家族からも福祉からも見放されて、悲惨な状況に置かれている人

が大勢いるという。 この社会に彼らの居場所は無く、犯罪を繰り返して、結果的

に刑務所が保護施設となっている。(現在は少し改善されているそう) 

 

本書では軽犯罪から殺人事件まで様々なケースを取り上げ、彼らを食い物にする

人達の存在や、冤罪についても語られている。

 

「日本語対応の手話と聾唖者の手話は違い、聴者がキャスターの手話ニュースは、

先天的な聾者には殆ど理解できない。」…こんな事も書かれていたので調べてみた。

 

・「日本語対応手話」(以下Ⓐとする)…日本語の語順通りに表現するもので、日本語

                 が出来る中途失聴者や難聴者向けのもの。

・「日本手話」 … 先天的な聾者の多くが最初に獲得する言語で、日本語の語順と

          は対応しておらず、Ⓐとは全く別物。

※テレビの記者会見や、ニュースに付く手話通訳は、殆どがⒶを使用。

 

1990年代まではⒶが正しい手話とされ、聾学校では日本手話は蔑まされ禁止されて

いたという。しかし、先天的に耳の聞こえない乳幼児にⒶの手話は理解できず、子供

の知識や情緒を健全に育てるためには、日本手話を習得してから日本語の書き言葉

で授業を受けるのが良いそうだ。(違う意見もある)

 

著者は言う。犯罪を繰り返す障害者は、加害者でありながら被害者でもあると。

だが彼らだけではなく、多くの障害者がこんなに風に理解の無い扱いを受

けてきていて、今も多くの問題を抱えている。 解決の道のりは険しそうだ。