ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

「すみません」の国 (榎本博明) 日本経済新聞出版

[内容]

「すみません」を筆頭に、日本人の“お約束”の言動を掘り下げて解明。

[感想]

日本人は「有難う」「ごめんなさい」と言うべき時に「すみません」と言う

ことが多い。又、謝罪する状況ではない時でも、殆どの人がこの言葉を使う。

著者はそれを批判するのではなく、日本特有の“お約束の利点”だと言う。

本書はそういった日本人の特性と、その言動のルーツ・意味・トラブルなどを、

他国と比較しながら解説している。

 

確かに「すみません」の一言があるか無いかで、印象がガラリと変わる。

日本人がすぐに謝るのは、その方が場が和み物事がスムーズに運ぶからだが、

外国においてそれは、自分の非を認めることで責任問題にまで発展するという。

それでいて実は欧米の方が“建前の社会”だそうで、こちらの解説も面白かった。

 

「日本人の例の微笑」…日本人のニコやかな応対は、外国人には “偽の微笑”に

見えることがあるらしい。中には店員さんの営業スマイルといった類のものもあ

るが、一般の人のそれには「微笑みの中に相手に対する思いやりがある」という

のは、大抵はその通りだと思うし私は好きだ。

 

本多勝一の「異民族の侵略を受けた経験の多い国ほど、自分の過失を認めない」

という言葉を引用して、日本は島国で同一民族、外国から攻撃されることが少なく

言葉で闘う必要も無かった為、和を尊ぶ精神が発達したのだという解説には納得。

 

下記の、震災直後のボランティアへの言葉にも頷いた。

「そこを正当に評価せずに、自己満足のための偽善的行為などと批判していたら、

 “人の役に立ちたい”という気持ちは全て偽善として排除されてしまう-(略)-そこに

は自己中な思いばかりが渦巻くようになる。」