[内容]
「すみません」を筆頭に、日本人の“お約束”の言動を掘り下げて解明。
[感想]
日本人は「有難う」「ごめんなさい」と言うべき時に「すみません」と言う
ことが多い。又、謝罪する状況ではない時でも、殆どの人がこの言葉を使う。
著者はそれを批判するのではなく、日本特有の“お約束の利点”だと言う。
本書はそういった日本人の特性と、その言動のルーツ・意味・トラブルなどを、
他国と比較しながら解説している。
確かに「すみません」の一言があるか無いかで、印象がガラリと変わる。
日本人がすぐに謝るのは、その方が場が和み物事がスムーズに運ぶからだが、
外国においてそれは、自分の非を認めることで責任問題にまで発展するという。
それでいて実は欧米の方が“建前の社会”だそうで、こちらの解説も面白かった。
「日本人の例の微笑」…日本人のニコやかな応対は、外国人には “偽の微笑”に
見えることがあるらしい。中には店員さんの営業スマイルといった類のものもあ
るが、一般の人のそれには「微笑みの中に相手に対する思いやりがある」という
のは、大抵はその通りだと思うし私は好きだ。
本多勝一の「異民族の侵略を受けた経験の多い国ほど、自分の過失を認めない」
という言葉を引用して、日本は島国で同一民族、外国から攻撃されることが少なく
言葉で闘う必要も無かった為、和を尊ぶ精神が発達したのだという解説には納得。
下記の、震災直後のボランティアへの言葉にも頷いた。
「そこを正当に評価せずに、自己満足のための偽善的行為などと批判していたら、
“人の役に立ちたい”という気持ちは全て偽善として排除されてしまう-(略)-そこに
は自己中な思いばかりが渦巻くようになる。」