ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

『卑怯を映す鏡(藤原正彦)新潮社』感想 

[内容]

学校・社会一般・政治経済に関する、様々な出来事についてのコラム集。

 [感想]

著者は作家新田次郎の二男で、数学者。

本書は週刊誌のコラムをまとめたもので、1話につき3頁で読みやすい。

国内外の歴史と政治経済への歯に衣着せぬ批判と、辛口な評論が続くが、

時々しょうもないジョークでズッコケさせられる(笑)。

 

「歴史への尊敬と感謝を持つことは、日本人としての自己を確立し誇りと自信

を持つための必須条件だ。」と言い、欧米に対しては「有色人種の上前をはね

るという狡猾な生き方を実践してきており、この思い上がった構図が破綻して

いることに気付かない限り、衰退は止まらない。」と、バッサリ。

 

メディアにも、偏った主張をして国民を誘導しようとする点や、著名人がしく

じった時の容赦ない袋叩きなどに関して、厳しい意見を述べている。

 

「ТPPの本質と問題点」「市場原理主義は決して人間を幸せにしない」

「統計のイカサマ」等々も、分かりやすくて納得のいく解説だった。

 

個人の興味深い話も幾つかあり、中でも「関東大震災の時、逃げ惑う途中で

幼い弟を不注意で死なせしまった老女の慟哭」には、切なさに涙が出た。

 

著者が子供の時に父親から教えられた、6つの禁じ手というのがある。

その中から、私達がやらかしがちな2点を抜粋。

 

・強い者が弱い者をやっつける。

・弱い者がやられているのを見てみぬふりをする。

父親からは「理由は何もない、卑怯だから。」と言われたそうだ。