[内容]
学校・社会一般・政治経済に関する、様々な出来事についてのコラム集。
[感想]
著者は作家新田次郎の二男で、数学者。
本書は週刊誌のコラムをまとめたもので、1話につき3頁で読みやすい。
国内外の歴史と政治経済への歯に衣着せぬ批判と、辛口な評論が続くが、
時々しょうもないジョークでズッコケさせられる(笑)。
「歴史への尊敬と感謝を持つことは、日本人としての自己を確立し誇りと自信
を持つための必須条件だ。」と言い、欧米に対しては「有色人種の上前をはね
るという狡猾な生き方を実践してきており、この思い上がった構図が破綻して
いることに気付かない限り、衰退は止まらない。」と、バッサリ。
メディアにも、偏った主張をして国民を誘導しようとする点や、著名人がしく
じった時の容赦ない袋叩きなどに関して、厳しい意見を述べている。
「ТPPの本質と問題点」「市場原理主義は決して人間を幸せにしない」
「統計のイカサマ」等々も、分かりやすくて納得のいく解説だった。
個人の興味深い話も幾つかあり、中でも「関東大震災の時、逃げ惑う途中で
幼い弟を不注意で死なせしまった老女の慟哭」には、切なさに涙が出た。
著者が子供の時に父親から教えられた、6つの禁じ手というのがある。
その中から、私達がやらかしがちな2点を抜粋。
・強い者が弱い者をやっつける。
・弱い者がやられているのを見てみぬふりをする。
父親からは「理由は何もない、卑怯だから。」と言われたそうだ。