ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

<漫画>酔うと化け物になる父がつらい(菊池真理子)秋田書店  

[内容]

アル中の父親が病死する迄、生活も心もかき乱され続けた著者の実話。

[感想]

自営業の父親は人付き合いが良くて、地区の行事には積極的に参加し、

休日はいつも自宅で近所の仲間とお酒を飲みながらの麻雀だった。

 

平日も飲み屋から泥酔して帰ってくることが多く、母親は新興宗教の熱心な

信者だったが、父親の召使いのような生活で、著者が中2の時に自殺した。

 

著者は母親を守れなかったと後悔し、懲りずに酒に呑まれ続けた父親の

葬儀の時も、「 (大人になってから) 怒って叩いて無視してたのは私。

化け物は私だったのじゃないか。」と、自責の念にかられる。

 

何故そんなに自分を責めるのか、そんなに自己評価が低くては生き辛かろ 

うにと可哀想になるが、小さい時からアル中の父親の後始末をしてきた子が、

そうなるのは不思議じゃないのかもしれない。

おまけにやっと別れた彼氏はDV男で、父親と同じ酒飲みだった。

 

優しい妹と、最後の大きな後始末の時に助けてくれた人達の存在が救いだが、

今なお「父とは良いこともあった」と罪悪感を持ち続ける著者。

そんな彼女の心の “ズレ”を教えてくれた人の、「1万円払って 100円玉もらって、

それを宝ものにしてるみたいだね。」という言葉は、正に言い得て妙だと思った。

 

私の知人に、断酒会に通う身内を持つ人がいる。彼女と一緒に居る時、彼女

の携帯に、断酒会の仲間が自殺したという連絡が入って驚いたことがある。

沈痛な面持ちの彼女の口から出た言葉は、「うちが入会してから、もう●人目。」

 

彼女は更に、「お酒は覚醒剤と違い、誰でもどこでも買えて、しかも世の中は酒の

宣伝であふれている。」 「依存症にまでなったら、アルコール依存症治療専門医

の指導を受けないと、断酒は難しい。」と続けた。本人が病院を拒否する場合は、

まずは家族だけでも相談に行くことが大事だそうだ。