「内容」
副題は「なぜグローバル人材が輩出するのか 」
インドの過去・現在・将来を、インド人である著者の人生を絡めて解説。
「感想」
著者は貧しい田舎の出身だが、インドのエリート大学 I I T(インド工科大学)
を卒業。その後日本のベンチャー企業に就職し、証券会社勤務などを経て、
現在はコンサルタント会社を経営している。
インドは何故 I T大国になったのか。その理由として第一に、I Tが新しい
産業で「古いインド」と無縁でいられたことを挙げている。
更にインド国内の理系大学では、授業は大抵英語で行われることや、
アメリカの I T企業が2000年問題の時に、インド人若者のコンピューターの
基礎知識と人件費の安さに注目したことも大きいという。
インドの最大の問題は貧困と汚職であると、カースト制度や教育制度、政治と
財閥の腐敗などについても具体的に解説。
又、今後インドが発展する為に必要なことや、どうしたら日本企業がもっとインド
に進出出来るかも分析している。
著者は、インド人としてのアイデンティティに固執しないと言う一方で、
「我々 I I T出身者は世界のどこにいようとインドへの貢献を忘れてはならない。」
と語る愛国心の強い人でもある。
「紀元前から伝わる“ヴェーダ数学”の計算方法で、2桁の暗算が簡単に出来る。」
「カースト制度は紀元前13世紀に、ヨーロッパ系アーリア人がインドを制圧した際に、
身分や階級で分けて出来た。」「日本人がインドを理解する5つのポイント」 など、
他にも興味深い話が、分かり易い文章で書かれている。
それにしても優秀な人で、舌を巻いた。