「内容」
カラスの基礎知識と、カラスにまつわる色々な話を分かり易く紹介。
「感想」
分厚い本だが絵が多く、全般に著者のカラスに対する愛情が感じられ、
又ユーモアのある文章で最後まで楽しく読むことが出来た。
所々にコミカルに描かれたカラスの挿絵が登場するのも楽しい。
カラスは雑食で掃除屋。一夫一妻。鳥としては異例な程親子で過ごす時間が
長く、よく遊ぶ。ハシブトガラスがこれだけ近くに居るのは日本だけ。
等々の他に、ハシブトガラスとハシボソガラスの比較に多くの頁が割かれて
いて、これが知っているようで知らない話が多く面白かった。
ただ、「市などが行う殺処分では、罠にかかるカラスの大半は若鳥で、しかも
秋~冬にかけてが多い。つまり彼らは飢えた個体だということで、子孫を残
せるカラスは3%以下。」というのは、読んでいてせつなかった。
最近息子が、交通事故で瀕死のカラスと遭遇し、保護した。動物病院では治療
を断られたため、鳥獣保護センターに相談したところ「カラスは害鳥なので救護
の対象にはなりません。」と説明され、結局そのカラスは息子が看取った。
(職員の応対は丁寧だったそう)。
それにしても、他の傷病鳥獣は面倒をみてもらえるのに、害鳥に指定されてる鳥
は、たとえ人間のせいで傷ついた場合でも拒否されるとは、何とも哀れな話だ。
ちなみにカラスも鳥獣保護法によって無許可の殺傷は禁じられており、
害虫や動物の死骸などを食べてくれる益鳥の面もあるので、殺すのではなく
いろいろ工夫して“山への追い払い”を実施している地域も沢山ある。
ところで、北海道にはバッタの大群を食い尽くして畑を守ったカラスを讃え
る碑があるそうだ。