［内容］
1980年の光州事件の時に、ドイツ人記者に協力した実在のタクシー運転手を
モデルにして描かれたドラマ （2017年 製作国 韓国） 映画賞受賞
［感想］
1979年パクチョンヒ大統領が暗殺された後、チョン・ドゥファン率いる軍部
がクーデターにより実権を掌握。民主化を望む国民は引き続きデモを行った。
ソウルの個人タクシー運転手キムは、小学生の娘と2人暮らしだが、デモ続き
で商売は上がったり。家賃を滞納するほど生活に困っていた。
ある日高額な運賃が貰えると聞いて、他の運転手を出し抜いてその仕事を横取
りし、ドイツ人記者のピーターを乗せて光州に向かった。
運賃が欲しいだけで政治には興味の無いキムと、韓国語の分からないピーター
の会話はちぐはぐで、最初は2人のやりとりが可笑しい。
戒厳令が敷かれる中、幾つかの障害を乗り越えてやっと目的地に入り、2人は
途中で乗せた老女の息子を一緒に探してあげることに。ところがそこで、大勢
の学生が次々と病院に運び込まれる現実を目にして、一気に空気が変わる。
その後は、人の良い光州のタクシー運転手の家に泊めてもらったり、私服軍人
に追いかけられたりと、目まぐるしく状況が変わる。途中、一緒に逃げていた
大学生が捕まってしまい、ソウルに帰りたい気持ちと、学生を心配する気持ち
の板挟みで「俺は一体どうしたらいい？」と1人泣くキム。
しかし大学生がリンチの遺体姿で戻って来たのを見て、キムは本気で立ち上が
る。最終的にピーターがカメラに収めた映像は、無事世界中に流れるのだが…。
大勢のデモの学生と市民。キムとドイツ人記者の為に集結した、あの人の良い
タクシ―運転手と同僚達。皆容赦なく軍に銃撃される様子に、胸が痛くなった。
韓国には徴兵制度があり、北朝鮮との問題もある。この映画ではそれらに関し
た場面は無いが、改めて日本と韓国の違いを強く感じた映画でもあった。
