ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた (講談社)

[内容]
ノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学の山中教授が、iPS細胞と自身
の人生についての質問に答えている。
[感想]
研修時代の出来事や、アメリカから戻った後一時ウツ病に陥った話など、意外に
も沢山の壁にぶつかりながら頑張って来た人だった。

 

「皮膚片を培養する時、幾つかの遺伝子を入れると、3、4週間目には全く姿形を
変え、能力も変わってしまってiPS細胞となる。」
このような話を写真と簡単な図解入りで、難しい話は“例え”で解説している。
特にiPS細胞とES細胞の比較は、解りやすくて良かった。

 

世界中の研究者が協力して、各々の研究結果を無料公開していることや、
再生医療の実用化が期待されている中、現在はiPS細胞を用いた創薬競争が
繰り広げられているなど、他にも面白い話が沢山ある。

 

特に感じたのは驚くほどの謙虚さで、恩師や研究費を出してくれた機関だけでは
なく、一緒に働く研究者に対しても「ぼくではありません。-(略)-足を向けて寝られ
ない人が沢山いるんです。」と、一人一人名前をあげて感謝の言葉を述べている。

 

山中氏は色々な活動をしているが、「iPS細胞研究基金」もその一つで、ただで
さえ競争が激しいと言われる研究の世界で、若手研究者の経済的安定にまで心を
配り実行している。このような凄い人が「アメリカでは-(略)-2人の子育てに自分も
参加できたことは人生で最大の喜びです。」と語っていて、少し顔がほころんだ。

 

山中氏といえば、昨年の「補助金打ち切り恫喝報道」には本当に驚いた。結局当初
の予定通り2022年度までの支援の継続が決定されたが、今後どうなるのだろう。

 

先日、HP『山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信』が開設されている。