以前、知人から聞いた話だ。
知人の親戚は、夫の定年退職後に家を大幅にリフォームしたのだが、
数か月後「退職金だけじゃ足りなくて、その分は貯金で賄ったのに、ダンナが
勝手に〇百万円もする買い物をしてきた。」と、こぼしたそうだ。
「支払いは頼んだぞ。」と事後報告され、妻が「どこにそんな余裕がある!」
と怒ったら「お前は金・金って、金の事ばかりだ!」と、逆切れされたという。
遣り繰りは妻任せで「後は良きに計らえ。」の夫と暮らすのは、ケチな夫より
大変かもしれない。
これが独り身なら、どんなお金の使い方をしようが、周りに迷惑をかけてるので
なければ、他人があれこれ言うことはないのだが、昔、新聞でこんな内容の記事
を読んだことがある。
『極貧で超ケチと思われていた一人暮らしの老女が亡くなった後、1千万円もの
現金が出てきた。』
それに対するコメントが、「あの世までお金を持って行けるわけじゃなし…。」と、
苦笑するような口調だったのが少し気になった。
あれからン十年。自分も高齢者となり、今はその老女の気持ちが少しだけ理解で
きる。1人暮らしで頼る人は無く、稼ぐことも出来ない老女の最後の頼みの綱は、
そのお金だけだったのだろう。もしかしたら、爪に火をともすようにして、少し
ずつ貯えたものかもしれない。
真相は分からないが、少なくとも“呆れた業突く張り”呼ばわりは酷だと思う。