[内容]自分勝手でだらしのない夫と、夫思いの妻の、不思議な物語。
(2010年 製作国日本)映画賞受賞
[感想]
俊介は自宅に写真事務所を構える有名なカメラマンだが、1年ほど前から全く
写真を撮らずに、ぐうたらな生活を送っていた。妻のさくらはそんな夫に溜め息
をつきながらも、お節介なくらい健康を気遣い世話を焼く。
しかし俊介はそんな妻をうるさがって、ないがしろにしていた。
ある日、俊介が自宅で浮気しようとしてた時に、たった今旅行に出た筈のさくら
が戻って来て、今度こそ夫に愛想をつかして出て行ってしまう。
2人の間に子供は無く、最初は1人の生活を楽しんでいた俊介だったが、カップ麺
ばかりの生活に嫌気がさして「あいつ、いつ帰ってくるんだよ!」と癇癪をおこす。
周りの人達はそんな俊介を、とても・とても心配して見守っていた。
2週間ぶりに突然さくらが帰宅して、無くした指輪を沖縄に探しに行ってたと言う。
俊介は嬉しさを隠して「一人暮らしは気を遣わなくていいから最高だ!」と力説。
それに対してさくらは「そっか~、それじゃあもう、一人で暮らせるね。」と答える。
それから少し経ったクリスマスの日。クリスマスツリーを買って来て浮かれる俊介に、
さくらの父親は「さくらは1年前のクリスマスに死んだのよ!」「前に進みなさい!」
と泣きながら怒り、俊介は「どうやって死んだと思えるんだ!」と言い返して喧嘩に。
俊介にだけ見えていた さくら。
皆が出てった後にさくらが戻ってきて、少し説教される。ここから、1年前に2人で
行った沖縄旅行のシーンになり、観客もその時に何が起きたのかを知ることになる。
「もっとちゃんとするから、傍に居てくれよ。」と泣く俊介。本当は心を引き裂く
ような後悔の念に苦しんでいた俊介に、私も涙が止まらなかった。
色々な人物が登場するが、彼の心を前に向かせたのは、オカマバーの経営者である
さくらの父親。人の心の痛みが分かる父親・石橋 蓮司の、オネエぶりも良かった。