[内容]
世界の国々の歴史と本質、問題点を、地図の南北を逆さまに見た視点で解説。
[感想]
「世界全図」を見ると、日本はまるで世界の中心に位置しているかのようだ。
だが私も地図を逆さまに見てみたら、著者の言う「中国にとって、海をふさぐ
日本列島、台湾、フィリピン、ベトナムは実に邪魔な存在」の言葉が、急に
現実味を帯びて見えてきた。
2019年現在の中国の人口は、約14億人。
中国にとっては、国民の生活を賄う為にも軍事的にも、海上ルートが重要になっ
ており、実際強引な海洋進出で、あちこちの国とトラブルになっている。
尖閣諸島問題も然りだ。
中国がインドを囲むようにして他国の港を整備した“真珠の首飾り戦略”と、
それに対抗したインドの“ダイヤモンド戦略”。
ロシアから、北朝鮮を経由した韓国へのガスパイプライン建設計画。
アラブの春から始まった新しい対立軸。
これらについての解説が続き、最後の章では日本の置かれた状況と、ではどう
すべきかが分かりやすく語られている。
以下は著者の導き出した結論の一部。
「中韓が日本に敵対する勢力となる可能性を考えれば、冷徹なパワーバランス
戦略を執るのも一つの方法。その意味では、論理的には日本にはロシアとの
連携が効果的だ。」
政治の駆け引きなど難しい事は分からないが、北方領土を返還する気の無い
国との連携は、どうやったら実現できるのだろう。