今年の4月、大企業の非正規雇用労働者の待遇改善の為に、「同一労働同一
賃金」を定めた法律が施行された。(中小企業は来年春から適用)
先月、注目されていた何件かの待遇格差訴訟の最高裁判決が出て、家族手当
などの支給は認められたが、賞与や退職金の不支給は不合理ではないと判断
された。賞与・退職金に関しては、責任の度合いが違うことや移動が無いこ
となどが理由に挙げられており、同一賃金への道のりは険しそうだ。
中学の同級生に、家庭の事情で全日制の高校に進学できなかった生徒がいた。
彼女の就職先は銀行(事務補助)で、中卒で銀行に採用されることは今では考え
られないが、当時でも珍しかった。彼女は働きながら4年間、夜間定時制高校
に通って卒業している。
しかし5年後に久しぶりに会った彼女は、銀行を辞めていた。理由は、高校を
卒業しても待遇は変わらず、その年に入社した全日制の高校新卒の女性よりも
給料が安かったから。上司に相談したが、何も変わらなかったという。
職種や会社にもよるが全く同じ条件で同じ仕事をしていても、学歴や性別で
賃金に差をつけられるのは、今も昔も変わらない。その理由として、将来性や
責任の重さ、女性の離職率など色々言われるが、いくら責任を持って定年迄
頑張りたいと思っても、スタート時点で選別さてれしまうという現実がある。
今回の “同一労働同一賃金”は「 パートタイム・有期雇用労働法」によるも
ので、学歴・男女の賃金差については触れられていない。こちらの方がしっか
り社会に根付いてしまっている分深刻だと思うのだが、見通しは厳しそうだ。