[内容]
7歳で性器切除、13歳で強制結婚させられた女性が書いた自らの半生。
[感想]
アフリカの女子の割礼の風習を世に知らしめたのは、わずか生後3か月の
女の子の死だったという。
女子の割礼は男子の割礼とは別もので、麻酔なしで女性器を切除するという
大変危険で野蛮なもの。多くの女性が後遺症に苦しんでいると言われる。
この風習の根っこにあるのは、女性を所有物と考える根強い男尊女卑の思想と、
「切除しなければ、ふしだらになる。」と考える男性の幼児性と支配欲だという。
著者はアフリカのセネガル出身のFGМ廃絶活動家で、女性と子供の権利を
守る為に設立された「ラ・パラーブル」のヨーロッパ代表。
※FGМ=女性器切除のこと。(最近は“女子割礼”とは言わなくなってるそう)
著者は13歳の時に、パリ在住の20歳年上の従兄と強制結婚させられ、15歳
でフランスに渡っている。その後この国での生活により、女性の権利意識に目
覚め、37歳の時に夫のDVから逃れて離婚。
しかし著者にも、自分の娘たちに切除を処してしまった過去があり、昔からの
根強い風習とは洗脳に似て、これ程に怖いものかと思った。
この悪習は、アフリカ、中東、アジアなど世界の30か国で行われて来たが、
多くの団体が根絶の為に立ち上がり、今では22か国で法律により禁止され、
近年は減少傾向にあると言われている。
しかし2019年現在、この30か国で少なくとも2億人の女性が切除を経験して
いるそうで、あまりにもの数の多さに改めて衝撃をうけた。
※2月6日は『国際女性性器切除(FGМ/C)根絶の日』となっている(国連が制定)。