[内容]
社員の反面教師になるような言動を、自作の漫画と共に書き連ねたエッセイ。
副題は『ダメ上司とダメ部下の陥りがちな罠28ケ条 』
[感想]
著者の職業はプログラマー。くだけた文章と軽い絵柄からくるイメージと違って、
内容は至極真面目。誰もが上司であり部下の立場であるということで、本書では
“上司”と“部下”に分けてそれぞれの立場での問題ケースを取り上げ、各節の終
わりに『教訓』がまとめられている。
読み始める前は、IT 業界というのは新しい分野なので、昔からの日本企業の
感覚とは違うのかなと思ったが、「いたいた、こんな人。」「あるある、こんな事。」
で、共感と苦笑いを交えながら読んだ。例えばこんな具合。
『思いつきに対して現実的な検討を加え、実践できるアイデアとして取りまとめてこ
そ、初めて「案」と呼べるものが出来上がります。』…部下はこれで振り回される。
『「責任を取って辞職します」って-(略)-誰がその不手際の後始末を行うの?』…私
も報道を読んで思うことがある。自主退職も解雇も、後始末をしてからの話では?と。
『「教え育てる」から教育なのであって、ただ教えるだけでは不十分。』…確かに。
この本を読んで、以前ある人が自分のことを「IТ土方」と言って笑っていたのを
思い出した。労働時間が長い上に賃金は安く、辞める人が多いのだとか。
※ IТ土方 =多重下請けの末端作業者のこと。
しかし今、IТ業界への就職・転職希望者が増えているそうで、このコロナの中
で知人の息子さんの会社では、臨時ボーナスが出たという。
小学校では去年から、プログラミング教育が必修化されたと聞いた。
裾野の広がりによって、この業界も更に二極化が進むのだろうか。