「内容」
副題は「ミツバチの目で見た農薬問題」 共著 水野玲子
写真と共に多くの被害実例を挙げ、虫や鳥の消滅の実態を解説している。
「感想」
1990年代半ばからヨーロッパ諸国でミツバチの大量死が始まり、この現象は
今も続いている。日本での始まりは、2003年に あるミカン畑にネオニコチ
ノイド系農薬が撒布されてからで、その後全国に被害が広がっていったという。
消滅してるのはミツバチなどの昆虫だけではなく、農村部ではツバメ、スズメ、
キジバトなど、鳥の姿が見られなくなった地域も多いそうだ。
陸から流れ出た農薬は海岸の虫や魚にも害を及ぼし、今後もこの神経系農薬が
使用され続けるならば、当然人への影響も拡大すると考えられている。
特に恐いと思ったのは、「ネオニコチノイドで種子処理された作物は、根から吸
い上げられた農薬が、茎や葉そして葉から染み出る水滴までも、高濃度のネオニ
コチノイドに汚染されていることが明らかになっている」という行だった。
ミツバチの大量死の原因としてこれまで長い間、ウィルス、ストレス、農薬、
地球温暖化など、様々な要因の複合的なものと言われてきたが、やはり大きな
原因は農薬で、今はネオニコチノイド系農薬の禁止が世界的に進んできている。
では2019年現在の日本はどうなのかと見てみたら、驚くことに市民団体などの
反対にも関わらず“規制緩和”の方向で、完全に世界の動きとは逆行していた。
食は生命の源。私達一人一人がもっと、注視する必要がありそうだ。
それにしても、ミツバチがこんなに可愛いものとは知らなかった。
飼主のことは覚えていて、絶対に刺さない。喜怒哀楽の感情を持っていて、お互
いに会話もする。中には、飼主の傍に来て悲しそうな羽音を鳴らすので、巣箱に
行ってみたら巣がスズメバチに襲われていた、という驚くような話も。