20代半ばで子供はまだ長男だけの時、私がよく聴いていた曲はロックだった。
高齢者には、「ジーザス・クライスト・スーパースター」のサントラ盤、
「エマーソン・レイク&パーマー」のシンセサイザーと聞いて、うなずく人も
多いと思う。
その後はフォークソングが多くなったが、演歌のテープは買ったことが無かった。
ところが60歳の時、テレビで島津亜矢の歌を聞いて、すっかりファンになって
しまった。その時彼女が歌っていたのは、今迄全く興味の無かった“歌謡浪曲”。
調べてみたら彼女は何を歌っても上手で、その後の私は彼女のCDやDVDを
何枚も買い、コンサートにまで行く変わりよう。
今でも好きな歌手だが、マイブームは2年くらい続いた。
ある時友人に「60歳で演歌にはまった♪」と言ったら、クスっと笑われた。
その数か月後、その友人の車で遠出をした時のことだ。
カーステレオから男性演歌歌手の歌が流れてきて驚いた。
彼女の車でクラシック以外の曲を聴くのは初めてだったので、カーラジオかと
思ったら、何とCDだった。実はその歌手のファンなのだと言う。
以前彼女の友人にその話をしたら小馬鹿にされたため、それ以来人に言うのは
やめたのだとか。
「いるいる、私はクラシックしか聞きませんて、他の音楽を馬鹿にする人。
でも何でこの齢になってから演歌なんだろうね?」と彼女に言ったら、
「血でしょ?血!日本人の血よ。」と言って笑った。…そうかも知れない(笑)。