[内容]
インターネットによるプライバシー侵害・風評被害・誹謗中傷などの対策方法。
[感想]
著者は2014年にグーグルから、検索結果の削除仮処分決定を勝ち取った
弁護士で、削除に関わることや裁判に関して詳しく書かれている。
ネットへの書き込みで苦しむ人が急増している。
国内外の様々な被害を読んで、想像以上の深刻さに驚いたが、その窮地を
“忘れられる権利”が救うという。
本書では、具体的事例を挙げながら削除依頼の実際を解説。弁護士費用が
結構高くて驚くが、賠償費用はもっと高くなると覚悟した方が良いとか。
ブログなどに子供の写真をアップする人は多いが、彼らは“晒されチルドレン”
と言われ、悪用されたり子供が傷つくことがあるので要注意だそうだ。結果的
に親自身も無自覚な加害者になってしまうなんて、何ともやるせない話だ。
有名人の合成写真が時々問題になるが、一般人のプライベートな画像が無断
で合成されることも珍しくないそうで、非難されてから慌てても遅い。
GPS機能が搭載されている機器で撮影して、そこから住まいを特定されて事件
になるのは、私も報道で何回か見てきた。 居場所を特定されないようにする
ことが大事と言うが、普通はなかなかそこまで思い至らない。
投稿サイトには、投稿者自身で削除する機能の無いものもあるとか。軽い気持
ちで人を傷つけるような投稿をして、その後削除しようと思っても拡散されてし
まっていたら、どうにも出来ない。一度被害者になると、救済は困難だという。
総務省で今年、訴訟手続きの簡略化や裁判の迅速化などが検討されていたが、
もうすぐ新たな裁判手続きが設置されるそうで、処分を求める人が増えそうだ。