先日、60の手習いで通っていた日本舞踊のお稽古用の浴衣数枚と、結婚する時
に母が持たせてくれた何枚かの着物を処分した。
私が若い頃、(元)夫の出身地では結婚した女性の嫁入り道具を、夫親族の既婚の
女性達に披露する習わしがまだ残っていて、私も一度だけ誘われて参加したこと
がある。
それは義弟のお嫁さんの着物のお披露目で、箪笥には定番の「黒留袖」「色留袖」
「喪服」の他に、何枚もの訪問着や色無地、帯が収められていて、そのどれもが
着物に疎い私でも分かる程の高級品だった。
私の場合は、北海道からまっすぐ九州の社宅への引っ越しだったので、そういう
ことはしておらず、この時は自分が“お披露目”をせずに済んだことに感謝したも
のだ(笑)。ちなみに新居で使う家電製品などは現地で買うようにと、母から少し
まとまったお金を渡され、今も使っている少し大きめの家具類は、社宅がアパート
ではなく一軒家になってから買い揃えた。
昨今は自分達で出会って結婚する人が殆どなので、カップルのおよそ8割は結納
を行わず、代わりに両家で顔合わせの食事会をするのが主流になっているという。
結婚式も仲人は立てず、媒酌人(当日だけの頼まれ仲人)を立てる人が多いとか。
“嫁入り”という言葉は殆ど死語になっていて、新居で使う家財道具は結婚する
当人達で揃えるのが一般的になっている。
家族構成やライフスタイルの変化を見越して、最初はそれぞれが独身の時に使っ
ていたものを持ち寄り、新しく買うのは最低限必要なものにする人も多いそうだ。
たまに「嫁入支度は要りません。その代わり〇〇をお願いします。」と親に頼む
女性もいて、下記は私が直接本人達から聞いた変わり種だ。
・「はた織機」… はた織りが趣味の女性で、一度実物を見せてもらったが職人さ
んが使う本格的なもので、8畳の部屋がその織機だけで一杯に
なっていて驚いたものだ。
・「家の頭金」…息子と同じ幼稚園のお母さんで、結婚してすぐに自分の家が欲し
かったので、結婚式は挙げずにその分を現金で貰ったとか。私よ
り一回り若かったけど、シッカリした感じの女性だった。
本人も親もそれで納得しているのなら、こういうのも斬新で面白いと思う。