ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

性善説・性悪説・サイコパス

昔々、中国で唱えられた「性善説」(孟子)と「性悪説」(荀子)。

どちらも“より良い人間になる為の努力が重要である”と説いているそうだが、

人々は道徳論よりも、「人間の本質は善か、それとも悪か」の方に強く関心を

持ち、古くからあちこちで論争が繰り広げられてきた。

 

性善説性悪説については、一般的には次のように考えられている。
「人間なら誰でも善悪両方の種を持ち、それは教育や環境で芽が出たり抑え込

まれたりと、どんな風にも変化する。」

 

但し種の種類や大きさには結構個人差があるようで、昔少年院の教官でこんな

ことを書いている人がいた。(要約)

「少年達が横道に逸れるのは、不幸な成育環境が大きく関係しており、どの子

にも更生の余地がある。だが稀に、親にも環境にも恵まれ本人の知能も高いの

に、悪事を働くことに全く罪悪感を持たない“生まれながらの犯罪者”がいる。」

 

サイコパスについては、彼らの代表的な特徴として「共感性や罪悪感の欠如」

「衝動性・攻撃性が強い」「病的虚言」等が挙げられる。

 

これらの兆候は既に子供の時から現れていることが多く、遺伝的要因が大きいと

考えられているが、彼らが必ずしも犯罪者になるわけではなく、高い地位に就い

ている人も多いとか。しかし社会的に成功しているからといって、サイコパス

克服されているわけでは無く、むしろ巧みに隠蔽されていることが殆どだという。

 

ところで、昔から世界中の宗教と法律が、同じことを言っている。

「殺すな 盗むな 姦淫するな 侵害するな…etc」 つまりは、サイコパス

なくとも世の中にはそういう事をする人間が沢山いるということだ。

 

無人販売に代表されるように、物品販売や飲食業は性善説によって成り立ってい

る。しかし昨今万引きは日常茶飯事で、若者の飲食店テロは社会問題にもなった。

 

だがこれは若者だけの問題ではなく、大人の世界でも最近は、人を疑わない素直

な人を “お人好し”、ルールを真面目に守る人のことを“ダサい”などと言って

小馬鹿にする傾向が、昔より強くなっているような気がする。

 

確かに何でも善意に解釈することや、どんな状況でも規則を曲げないことは、

一見良い事のように見えて、実はある種の保身で「本当に大事な事から目を逸ら

している」「自分に都合よく考えている」というだけの場合もある。

 

いずれにせよ問題が発生した時は、善意でも悪意でもなく“出来る限り正しく見

る”ことが大事で、その後の対応やさじ加減をどうするかはケースバイケース。

人の度量の大小が顕著になるのは、正にこんな時だ。

 

あと、人は齢をとる程に器が硬く萎んでくる傾向があるようなので、私もそこは

気を付けたい。