「持ち家と賃貸はどちらがいいか?」
これは昔からよく議論されているテーマで、どちらにもメリット・デメリット
があるが、ライフプランにもよるので決め付けることは出来ない。
只、平均寿命が80歳を超えた今、家の生涯コストの平均は賃貸より持ち家の方
が安いそうなので、金銭面を考えれば持ち家の方が良いかもしれない。しかし
災害やコロナ禍などでローン破綻した人も多く、中々計算通りにはいかず難しい。
終の住処を決める時は費用だけではなく、周辺の環境もある程度把握しておくの
も大事なことだ。特に持ち家の場合は、そう簡単に引っ越すわけにはいかないの
で出来るだけ調べておきたいが、住人に関してはそう簡単に分かるものではない。
そのため近隣の住民と何年も犬猿の仲という人も珍しくなく、中には傷害沙汰で
ニュースになることもある。
私はずっと社宅暮らしだったので、住む家も住む期間も全部会社任せで、正直
言うと当たりハズレはあった。
30代半ばに住んでいた社宅でのこと。近所のWさん一家が転勤で引っ越すこと
になり、引っ越しの当日は同じ班の10数件が荷物運びを手伝い、その後は空に
なった家で恒例の女性陣だけの軽い食事会となった。
いつもなら無難な会話で和気あいあいとなるところ、この時はさながらW夫人
の悪口大会となり、こんな事は初めてのことで私は目が点に。
引っ越したWさんは気さくで、周囲からの評判が良い人だった。
しかし私は陰で時々小さな意地悪をされていて、何か迷惑でも掛けたのだろう
かと、何度か気持ちが沈むこともあった。
だが奥さん達の話を聞くに、彼女は自分ではうまく立ち回っているつもりで、
あちこちで似た事をやらかしており、これが一気に噴き出たというわけだ。
まあ何だかんだ言っても、社宅からはいつかは出ていくものだからまだ良い。
しかしこれが持ち家となると、そう簡単に引っ越すことは出来ないので悩みは
一層深刻になる。
その点賃貸は、持ち家よりはずっと引っ越しが楽だ。引っ越しにはお金が掛か
るしロスも生じるが、そこで暮らし続けるにはダメージが大きいと判断した場
合は、“逃げるが勝ち”と割り切った方が心穏やかな人生を送れるかも知れない。