今住んでいる家を建てる時に、ハウスメーカーの相見積もりはしなかった。
家造りに関しての本は色々読んでいたが、しょせんは素人。見積もりを
比較しても、私達には金額と品質が見合うものかどうかの判断は無理だと
思い、幾つか住宅展示場を見学してその内の一社と付き合うことに決めた。
希望の間取りを簡単にスケッチしたものを、設計者からアドバイスをもら
いながら何度か変更して、ラフ設計に仕上げてもらったのが数か月後。
最後に見積額も決まり、後は契約という時に大手ハウスメーカーの営業マン
の訪問があった。彼は「図面と見積もりを見せて頂いたら、当社ならそれ
と同じものを値引きした価格で提供出来ます。」と言った。
丁重にお断りしたが、翌日もう一度来て、今度は1割引で引き受けると言う。
建築費用は生涯で一番大きな出費だ。少しでも安い方がいいに決まっている。
だが相見積もりと違い、この場合はただの横取りだ。
再度お断りしたが、後日こういうことは珍しくないと聞いた。
どんな業界にも、不当な手段で他社に仕事を横取りされたという話はあり、
それを不条理と捉えるか、資本主義の競争社会なのだから当然と考えるか、
状況によって判断は変わる。
だが法には触れていなくとも、又一時的に数字は取れても、企業モラルに
反するようなことを続けていたら、会社にも本人にも将来的にはマイナスに
なると思うのだが。