[内容]
ダウン症の弟と車椅子ユーザーの母親、そして今は亡き父親との絆を大切に
しながら、自分の夢に邁進し続ける女性のエッセイ。
[感想]
若い身には辛かろうと思うような出来事も、著者の行動力とユーモアのある
文章で、時々涙しながらも最後まで楽しく読むことが出来た。
中学生の弟が、コンビニの飲み物を持ち帰ってしまった時の事。
弟が気まずそうに出したレシートには、店のオーナーによって「お代は今度
来られる時で大丈夫です。」と書かれていた。こんな人もいるのかと、思いや
りのある素敵なオーナーに私も胸が温かくなった。
大学生の時に㈱ミライロの創業メンバーとなり、試行錯誤しながら頑張る様子
も興味深い。ちなみにこの会社の企業理念は、“バリアバリュー”というもので、
私も初めて聞くこの言葉には、著者と同じようにちょっとした衝撃を受けた。
バリアバリューの説明にはこう書かれている。
「障害は取り除くべきでもマイナスでもない。歩けないから、見えないから、聞
こえないから、気付けることがある。障害は価値(バリュー)に変えられる。」
ハッとするような教えられる話も多い。
・著者が高校生の時に、母親は生死をさまよう病気をして車いすユーザーとなっ
ている。その後母親は障害者として講演をするようになるのだが、そこに至る
迄の経緯と母娘の思い。
・余命を宣告されながらも精力的に仕事を続けるカメラマンの男性の生き方。
等々
その他、模試でEランクだった大学に受かるための著者の半端ない勉強ぶりに
感心したり、会社に人気タレントの櫻井翔が来た時の、まるで中学生のような
緊張と喜びっぷりが可愛くてクスッと笑ったり。
途中で本にスナップ写真を挟んだかのように、母親と弟の3人で撮った写真が
現れるのだが、彼らの笑顔がとても素敵で思わず二度見してしまった。