ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

読書感想〈漫画〉 『ナースになったらピュアな心がなくなりました』『赤い文化住宅の初子』

 

★『ナースになったらピュアな心がなくなりました』(にわみちよ)

[内容]

看護師の目から見た総合病院の実態を、ユーモラスに描いた4コマ漫画。

[感想]

主人公は、一生懸命だけれど失敗も多い新人看護師。

せつない話もあるが笑うシーンが多く、医療についての解説も分かりやい。

途中、読者の質問に答える形式で書かれた「病院のナイショ話し教えます」

がトータル8頁あり、全て著者の実体験なのでこちらもリアルで面白かった。

 

★『赤い文化住宅の初子』(松田洋子)

[内容]

兄と古アパートで暮らす女子中学生の、貧しく理不尽な日常と青春の物語。
[感想]

母親とは死別で、父親は蒸発。工場勤めの兄は、自分の境遇にいつも苛立って

いた。中学生ながらラーメン屋でアルバイトをし、高校進学も諦めている初子

の唯一の希望は、将来結婚しようと言ってくれている三島君だ。

 

不当に時給を低くしておいて、初子に「中学生がカネカネ言うな。」と吐き捨

てるラーメン屋のオヤジ。進路を相談する初子に「春休み迄わしらぁ働かす気

か!」と怒りつける担任。とにかく周りの大人達が優しくない。

 

ある日突然舞い戻った父親に至っては、

「妹も高校に行かせたれんのか、情けない兄貴じゃの。」とほざく屑っぷり。

 

ストーリー、人物の表情、絵柄、セリフ…そのどれもが、もしかしたら著者の

実体験?と思うほどリアルで、引き込まれるように読み終えた。

(本書は東亜優の主演で映画化されている。)

 

この本にはもう1話、『PAIN IT BLUE』という、零細工場の息子の物語も載

っている。不遇な青年の、どんどん底辺に追いやられそうな焦りの気持ちが描か

れているのだが、若者達の逞しさや笑いもあって「腐るな、今は食いしばれ。」

と応援したくなるような良作だった。