今日これを書くにあたり、長姉の気持ちを聞いたところ「もう60年以上も前
の事だから書いてもいいのでは…。」という言葉をもらったので、ブログに記
すことにした。
私が小3の時のことだ。
確か夜中の2時頃だったと思う。突然消防サイレンの音が鳴り響き、家の前を
何台もの消防車が赤い光を点滅させて通り過ぎて行った。
すぐに両親が起きて来て窓を開け、私も一緒に外を見ると100m程離れた先の
小さなアパートが炎に包まれていた。
アパートは全焼し、焼け跡から男性と2人の子供が遺体で見つかった。
上の子は私の長姉の中学の同級生で、ついこの間小学生の弟を連れて我が家
に遊びに来ていた。その時私も「こんにちは」と挨拶を交わしていて、子供
心に「2人共なんか寂しそうな顔してるなあ…。」と思ったのを憶えている。
火事はこの父親の放火が原因で、火をつける前に子供達を殺していた。
翌日母に聞いたところ、新聞には「妻が他の娘達を連れて出て行った為、父親
は前途を悲観して‐(略)」と書かれていたという。私はあの子達が可哀そうで、
泣けてならなかった。
火事の後すぐに新聞社が姉のところに取材に来たが、とても話す気になれず
断ったというのは、今回姉との電話で初めて知った。
今、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあって心中が増えているという。
未遂も含めればその数は何倍にもなるだろうと推測されている。
自殺する人の苦しみは他人には計り知れない。だが無理心中は殺人だ。
自分だけ死ぬのは子供が可哀そうだとか、子供を残すと周りに迷惑をかけてし
まうと考えての結果が多いそうだが、今は昔とは格段に福祉体制が違う。
それでもどうしても死にたいと思う人には、冷たいようだが「どうか親のエゴ
で子供を道連れにだけはしないで下さい。」と言いたい。
但し、親に自死された子供は大きな傷を負い、自分を責め、勝手に死んだ親を
許せず、ずっと苦しみ続けるという。そのことを肝に銘じてもう一度よく考え
てほしい。
子供をそんな可哀そうな目にあわせないためにも、決して1人で背負い込まず、
誰かに相談してほしいと思う。きっと死ぬ以外の道が見つかる筈だから。