[内容]
国際機関で働いていた女性が、様々な困難に遭いながらも、途上国ブランド
の会社を興したノンフィクション。 副題は『25歳女性起業家の号泣戦記』
[感想]
著者は工業高校から、3か月の猛勉強で慶應義塾大学にAО入学。
インターン時代にワシントンの“途上国援助”の国際機関で働くが、彼らの誰も
途上国に行きたがらないことに矛盾と憤りを感じ、敢えてバングラデシュの
大学院に入学した。
初めてスラムに入った時は、その有様と異様な臭いに衝撃を受け、日本や他の
先進国が与えて来た援助金はどこに消えたのかと暗澹(あんたん)たる思いに
駆られたという。
その後更に、賄賂のまかり通るすさまじい腐敗と格差を目の当たりにし、それか
らは数々の失敗、挫折、裏切りにあいながらも、途上国ブランドの会社を立ち上
げる。モットーは「途上国だからと同情でお金を集めるのではなく、対等なビジ
ネスでお金を稼ぎ還元する。」
私が親なら、「もう十分に頑張った。引くことも大事だよ。」なんてことを言っ
てしまいそうなくらい苦難の多い道で、この若さでここまでガムシャラに頑張れ
る女性は なかなかいないだろう。
本書では以下の2つの言葉も印象に残った。
「貧困支援をしている国際機関が、机上の空論ばかりで現地を知らず。」
「貧しさは生活の至るところで人間を傷つける武器として現れた。」
ネットで確認したところ、日本国内は勿論のこと海外や通販でも販路を拡大して
おり、経営は順調な様子だ。