「内容」
バイオリンの天才少年と、その育ての親との強い絆を描いたドラマ。
(2002年 製作国 中国)
「感想」
田舎で父と2人で暮らすチュン(13歳)は、バイオリンの天才だった。
そのチュンが、北京のバイオリンコンクールに出場することが決定し、貧しい暮ら
しの中、一人でチュンを育ててきた父親のリウは、息子をバイオリニストとして
成功させる為に、全財産を持ってチュンと一緒に故郷を出る。
しかし、結果は5位。だが トイレで偶然、審査員の一人チアンが「本当はチュンが
優勝して当然だった。どんなに上手くても、金とコネがなきゃ駄目なんだ。」と話す
のを耳にしたリウは、チアンの部屋に押しかけて、息子へのレッスンを頼み込む。
この先生、教える腕は一流だが、どこか荒んでいて生活もいい加減。
しかしノラ猫の親子を家に入れて世話をするなど、心根の優しい人だった。
先生が最初にチュンに言う。「一生懸命弾け」「弾くなら楽しんで弾け」
この後、チュンが淡い恋心を抱く“男運の悪い”女性の為に、勝手にバイオリンを
売ってしまうなど色々な事が起きるが、ぶつかり合いながらも息子に ただただ
無償の愛を注ぐ父親の素朴な笑顔がいい。
実はチュン自身は知らずにいたが、彼は赤ん坊の時 に駅に捨てられていた子供で、
小さい時から弾いてるバイオリンは、その時チュンの傍に置かれていたものだった。
チュンに勝手に真実を教えたのは、国際コンクールに出場するために新たに師事
していた高名な教師で、ショックを受けたチュンの心は激しく揺れ動く。
全編にバイオリンの美しい音色が流れ、特にチュンが故郷に帰る父を追って、駅で
チャイコフスキーの「バイオリン協奏曲」を弾くシーンは素晴らしかった。秀作です。