[内容]
1992年から始まったボスニア紛争が、アメリカのPR企業の情報操作によって
決定づけられた経緯が語られている。
講談社ノンフィクション賞他受賞
[感想]
この本を読んで、湾岸戦争の時にクウェート駐米大使の娘が涙ながらに嘘の証言
をした事件があったのを思い出した。企業による情報操作は一歩間違えたら犯罪
だろうと思ったら、実際“やらせ”で糾弾された会社もあるという。
国連を実質的に牛耳っている5か国と話をつけることが出来れば大勢を逆転でき
るそうで、ボスニア紛争の時に情報操作を依頼したのは、ボスニアの外務大臣。
他国の戦争をビジネスと割り切って情報操作をしたのは、ルーダー・フィン社。
紛争当事国の外務大臣はともかく、ルーダー・フィン社の倫理観はどうなっている
のだろうと思ったが、業務を担った男性は戦争を解決に導いたことに誇りを持って
いるそうだ。
仕事を成功させた彼は、程なくして全米PR協会の賞に応募して受賞。
お陰で、仕事の依頼が沢山舞い込んで来たという。
当時は日本でも盛んにセルビア人の非道ぶりが報道されていたが、事実を認識
していた人たちは結構いたらしい。マスコミはこのことをどう捉えているのだろう。