[内容]
リタイア後の長い老後を、等身大の自分で有意義に楽しく前向きに生きよう
との指南書。 副題『60歳からの「生き直し」のすすめ』
[感想]
本書では 「日本は何故自殺者が多いのか」「投資より地道に稼ぐこと」
「介護から逃げてはいけない」「親の未来より子供の未来を大切に」等々
様々な角度から老後はどうあるべきかが語られている。
どちらかと言うと、元サラリーマンで且つ健康な男性向きの内容で、当たり
前のことばかり書かれているようだが、きちんと出来ている人は案外少ない
かもしれない。
世の中には、年金だけで生活するのは厳しいと嘆く人は結構多く、著者の
「働けるうちは働いて、老後の為に貯蓄をしておくのが常識だろう。」とい
う言葉は至極当然だと思う。しかし人は失敗するもので、又堅実に生きてい
ても不運に見舞われることは珍しくなく、難しいところだ。
「人は老いても自立精神を持ち、死ぬまで何かの努力をせよ」…これも本当
にその通りで、ささやかでも目標を持って老後を送れたら理想的だ。
ただ妻達の目から見ると、男性の多くはまず日常生活の自立が必要なようだ。
特に団塊の世代以上の男性には、“家事は女の仕事”と思っている人が多く、
私の周りにもリタイアした夫のおさんどんに疲弊している老妻が何人かいる。
現役時代に頑張ったから老後はのんびりしたい…は妻も同じで、たとえば
仕事一筋だった男性が「今日は爺ちゃんが美味しいもの作ってやるぞ。」
なんて言ったら、孫からも絶賛されること間違いなし…と思うのだが(笑)。
以下の2つは、特に心に響いた言葉だ。
「岩手県の海辺には、津波の警告を文字に刻んだ石碑が無数にあるという。
-(略)-後世を思いやった、なんときめ細やかな先人たちの心配りか。」
「齢をとったら益々愛する心を大切にしたいものだ。人だけではなく動物は
勿論、花にも庭の草木にも何に対しても愛の心で接してみよう。」