ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

「ただの偶然」ではない場合もある①②

① <行くことが出来ない>

以前趣味の教室のAさんと、他県に天然石を買いに行く約束をした時の事。

当日の朝Aさんから電話が来て、朝起きようとしたら左右のアキレス腱に

激痛が走り、歩ける状態ではないという。

 

思い当たる原因は無いそうで、「前にも突然の体の不具合で外出を止められ

たことがある-(略)-今回は買いに行くのはやめましょう。」と言われた。

 

その数日後、何故か私のアキレス腱も痛み出した(片方だけ)。2人共翌週の

教室には出席出来たが、見るとAさんの両足首はまだ赤く腫れあがっていた。

それから10分程して、教室にCさんから電話が入った。「アキレス腱が痛む

ので今日はお休みします。」私とAさんは、思わず顔を見合わせた。ちなみに

3人共運動はしておらず、Cさんは私達のアキレス腱のことは知らない。

 

② <いなくなったナナ>

今は亡き飼猫のナナが、誰かが玄関を開けた隙にヒョイと外に出てしまった時

のことだ。あちこち探し回ったが見つからない。

近所には以前ナナに大怪我をさせた猫がいるので、どこかに隠れているのか…。

 

しかし4時間が過ぎ、最悪の事態も頭をかすめるようになった為、私は部屋で

1人、亡くなったぺぺ(ナナと仲が良かった猫)に全身全霊で祈った。

「ナナが生きていたら家に連れて来て下さい。もし怪我をしていたり、死ん

でる場合は私をそこに連れてって下さい。」

 

5分程祈り続けた後、又ナナを探すために玄関の戸を開けたら、何と、目の前

にナナがちょこんと座っていた。

『太陽に灼かれて(主演)オレグ・メンシコフ』感想

[内容]

スターリンの時代、家族と共に休日を楽しんでいた特権階級の男が、粛清の

罠にはめられていく。      (1994年製作国 露・仏)映画賞受賞

太陽に灼かれて(字幕版)

[感想]

舞台はモスクワ郊外の美しい田園地帯。

ロシア革命の功労者であるコトフ大佐には、若く美しい妻と幼い娘がいた。

この時ソ連では粛清が始まっており、同志たちは次々と無実の罪を着せられ

て逮捕されていたが、大佐はまだ郊外の別荘で優雅に休暇を過ごしていた。

この上流家庭に、10年ぶりに帰郷した青年ドミトリが訪ねて来た。

 

正直言って映画の前半は少し退屈だったが、ドミトリの過去や突然故郷に

帰って来た理由が分かるにつれ、俄然面白くなっていく。

 

コトフ大佐はかつて、妻と結婚する為に自分の立場を利用して、当時彼女の

恋人だったドミトリを遠くの戦場に追いやり、人生を狂わせていた。 

今度はドミトリが、スパイ容疑をでっちあげて大佐に復讐することになるのだ

が、それはただの私怨によるものではなかった。

 

秘密警察の一員として、スターリンの恐怖政治に加担するドミトリに恐さを

覚えながら観ていたが、ラストで最初のシーンの意味が分かり、冷徹に見えた

ドミトリの深い悲しみが伝わってきて切なかった。

 

大佐の幼い娘の、自然であどけない表情がとても可愛い。

大佐と妻の苦悩もきちんと描かれていて、ハッピーエンドではないが冷静に

受け止められるラストだった。ちなみに粛清の残酷なシーンは無い。

 

この映画は三部作となっており、『戦火のナージャ』『遥かなる勝利へ』と続く。

『卑怯を映す鏡(藤原正彦)新潮社』感想 

[内容]

学校・社会一般・政治経済に関する、様々な出来事についてのコラム集。

 [感想]

著者は作家新田次郎の二男で、数学者。

本書は週刊誌のコラムをまとめたもので、1話につき3頁で読みやすい。

国内外の歴史と政治経済への歯に衣着せぬ批判と、辛口な評論が続くが、

時々しょうもないジョークでズッコケさせられる(笑)。

 

「歴史への尊敬と感謝を持つことは、日本人としての自己を確立し誇りと自信

を持つための必須条件だ。」と言い、欧米に対しては「有色人種の上前をはね

るという狡猾な生き方を実践してきており、この思い上がった構図が破綻して

いることに気付かない限り、衰退は止まらない。」と、バッサリ。

 

メディアにも、偏った主張をして国民を誘導しようとする点や、著名人がしく

じった時の容赦ない袋叩きなどに関して、厳しい意見を述べている。

 

「ТPPの本質と問題点」「市場原理主義は決して人間を幸せにしない」

「統計のイカサマ」等々も、分かりやすくて納得のいく解説だった。

 

個人の興味深い話も幾つかあり、中でも「関東大震災の時、逃げ惑う途中で

幼い弟を不注意で死なせしまった老女の慟哭」には、切なさに涙が出た。

 

著者が子供の時に父親から教えられた、6つの禁じ手というのがある。

その中から、私達がやらかしがちな2点を抜粋。

 

・強い者が弱い者をやっつける。

・弱い者がやられているのを見てみぬふりをする。

父親からは「理由は何もない、卑怯だから。」と言われたそうだ。

ペットを飼っている1人暮らしの人がすべき事

ついこの間のこと、友人(Hさん)のところにこんな相談があった。

「近所の1人暮らしの女性が病気で緊急入院となり、家に10匹以上の飼猫

が残された。それから3日も経つのに、コロナ禍で面会させてもらえない。」

猫達はすぐに、近所の人達の協力のもと窓ガラスを割って救出され、市内の

ボランティア団体が一時保護。飼主の女性には感謝されたという。

 

この話を聞いて、今年4月に読んだニュースを思い出した。

武蔵村山市の高齢女性が急死し、21匹の猫が残された。しかし女性には

息子がいるからと(元々別居で猫には無関心)、行政は頑なにボランティアが

救助することを拒否。すったもんだが続いたが、ボランティアが有力政治家

に相談したところやっと許可が下りた。」

 

しかし猫達を保護出来た時は、女性の遺体発見から24日も経っており、皆

衰弱していて中には間に合わなかった子もいたという。

 

高齢者の入院や病死などで、ペットが放棄されるケースは意外と多い。だが

先に書いたHさんともう1人の友人は、自分が関わった犬猫は絶対に見捨

てない。2人が保護して里子に出した数は、それぞれ優に100匹は超えて

いて、仕事をしながら1人で、どうしたらそこまで出来るのかと感心する。

 

彼女達の家にはまだ何匹かの保護犬猫が残っていて、本人が死んだ時は子供

さんが面倒を見ることになっている。しかしどちらの娘さんも独身で、しか

も日中は仕事で家に居ない。多頭飼いは大変だろう。

Hさんは「猫達には手間もお金もかかる。娘も可愛がっているが、彼女にと

っては負の遺産。これ以上増やすわけにはいかない。」と言っている。

 

多頭飼いに限らず一人暮らしの人の場合は、万が一に備えて知人やペット

信託などに依頼しておくことが大切で、下記の事をしておくと更に安心だ。

 

①外出先でのアクシデントに備えて、財布にペットを飼っていることと、

 万が一の時のレスキューの連絡先を書いたメモを入れておく。

②部屋の目立つ場所に、①と同じことを書いた大きな紙を貼っておく。

『一人息子 (主演)飯田蝶子』感想 

[内容]

子供の立身を楽しみに生きてきた母親と、真面目だけど不甲斐のない息子の

物語。                     (1936年 製作国 日本)

一人息子 [DVD]

[感想]

モノクロで、昔懐かし俳優さん達が皆さんとても若く、それを見るのも楽しい。

舞台は1923年の信州。おつねは息子の良助を一人で育てている貧しい女工だが、

進学したいと願うわが子の為に、秘かに田畑を売って上京を許す。

 

それから十数年後。息子に会うために上京したおつねが目にしたのは、母親

の自分に一言の連絡もなく結婚して、子供までいる息子の姿だった。

良助は夜学の教師をしていて、貧しい暮らしを言い訳するかのように、都会暮

らしの大変さを語り始め、おつねをガッカリさせる。

 

しかし翌日近所の貧しい家庭の子が大怪我をして、その入院費を良助が工面

してあげたのを見て、おつねの失望の気持ちは安堵と誇らしさに変わる。

結婚を親に黙っていたのは気に入らないが、出世などしていなくとも優しい妻

と可愛い子供がいて、人として真っ当なら何の問題があろう。

 

良助がいかにも昔の男らしく女房には威張った態度で、女房も又昔の女性ら

しく健気に尽くす様子は、この時代風に言うと“おかしくてやがて悲しき”だが、

近所の人達や出世の夢破れた良助の元の担任など、登場人物は皆不遇の中でも

何とか生活していて、めげるなと応援したくなる人ばかり。

 

戦前の貧しくも頑張って生きる庶民の生活がよく分かる映画で、母親役の

飯田蝶子の抑えた表情と真っ当な発言も良かった。

 

昔に限らず現代でも、貧しくて進学できない子や教育ローンの返済にしんどい

思いをしている人は大勢いる。売る田畑があったおつね母子は、贅沢は出来

なくとも恵まれていたと言えるかもしれない。