ほたるBBの 絵と 本と 雑感日記

60代後半に再開したお絵描きと、読書の備忘録。考えさせられたことなども綴ります。

読書感想(漫画)『僕のジョバンニ』『スキエンティア』

        ★漫画『僕のジョバンニ』(穂 積)

[内容]

チェロを通して親友になった少年達の、並外れた才能故の葛藤と成長の物語。

[感想]

鉄雄はまだ小学生だが、チェロが大好きで才能もあった。

ある日鉄雄の家の近くで客船が沈没し、ハーフの少年郁未が救助された。

郁未は鉄雄の家で暮らすことになり、チェロを通して2人は急速に親しくなる。

 

だがある日、郁未が鉄雄の弾けない難しい曲を難なく無邪気に弾いて見せたこ

とで、鉄雄は激しく嫉妬し郁未を憎むようになる。

 

成人した彼らはその後どんな関係になり、どんな音楽家になるのか。

その辺りのストーリーも良いが、チェロの名曲や演奏に関しての解説が面白い。

演奏家への道のりの想像以上の厳しさにも驚かされた。

 

師匠が鉄雄を叱った言葉「技量を磨く為の練習法として模倣することは否定し

ない。(略)‐お前のやったことは、飲み込んだものを大して消化もせず聞き

手に向かって吐き出したに過ぎない。」は、全ての芸術に当てはまりそうだ。

 

         ★『スキエンティア』(戸田誠二)

[内容]

舞台は未来社会。自分自身に真摯に向き合う人達の7つの物語。

[感想]

スキエンティアとは、高層タワーの屋上に建てられた女神像のことで、女神

は今日も天空から街の人々の行いを見つめていた。

 

登場人物たちはそれぞれ、愛や死・夢の実現などについて、悩み葛藤しながら

も自分の道を見つけていくのだが、どの話にも主人公の気付きと救いがある。

 

第3話目の、事故で亡くなった娘のクローンを育てる母親が、本当の娘の死を

受け入れる迄の心の変遷がせつなく、特に心に残った。