「内容」
モーツァルトの生涯が、彼の才能に嫉妬して苦悩する男の言葉で語られる。
「感想」
老人サリエリが自殺をはかって、精神病院に収容された。
サリエリは王室付きの作曲家で、モーツァルトにとっては大先輩にあたる。
彼は神父に話を促され、「私はモーツァルトを殺した。」と回想を始めた。
全編にモーツァルトの曲が流れ、一流歌劇場のオペラは勿論、大衆オペラが
また魅力的で、多くの映画賞をもらったのが頷ける見応えのある映画だった。
モーツァルト役のトム・ハルスは、ピアノを猛練習して殆ど代役なしで弾いた
そうで、私に演奏を聞きわける耳はないが、プロでも通用しそうな凄さだった。
35歳の若さで亡くなったモーツァルトは、沢山の素晴らしい作品を残したが、
宮廷作曲家というイメージにそぐわないエピソードや、自筆の下品な内容の
手紙なども残されている。
その為かこの映画では、そこまで誇張するか?と気の毒になるほど、“才能は
あるが品の無い軽薄な男”として描かれており、公開直後にはモーツァルト
愛好家たちから抗議の声があがったという。
伝記ものは皆そうだが、特にこの映画は、“史実を織り交ぜたフィクション”と
割り切って楽しむのが良いかも知れない。
それにしても、(殺されたわけではないが)モーツァルトがあんな不遇な晩年を
送っていたとは。