2005年の、みずほ証券「ジェイコム株」大量誤発注事件の時は、東証も誤発注
を取り消せなかったということで裁判沙汰にまでなり、株とは全く縁の無い私で
も、その成り行きには目を見張った。
儲けを得た他の証券会社は「過失につけ込む火事場泥棒」と非難されたのもあり、
殆どの会社が 証券市場基盤整備基金 に寄付という形で利益を返還した。
しかし利益を返還しなかった個人投資家が結構いて、その中でにわかに有名にな
たのが、莫大な利益を得たBNF氏だ。法を犯したわけではないので、彼らにとっ
ては「火事場泥棒」「恥知らず」などと言われる筋合いの無いことなのだろう。
その頃、自宅に大手証券マン2人の訪問があった。新人の挨拶回りを兼ねた営業
で、私は一通り話を聞き終えた後、BNF氏がお金を返還しなかった事についての
感想を聞いてみた。
その人(上司)は「私なら、お金は返しません。」と言って、ニッコリ笑った。
それを聞きながら私は、以前何かで読んだ2つの言葉を思い出していた。
「証券マンにとって大事なのは、金融商品の売買で手数料を得ることと、ノル
マの達成で、顧客の利益は二の次。」「証券マンが勧める商品には手を出すな。」
だが、これはある意味当たり前の話だ。それと金融商品の取引というのは、あく
までも自己責任で「勧められたから買ったのに損した。」は通用しないとも言わ
れる。(詐欺は別)
コロナの流行によって、最近いつにも増して「資産は自分で守れ」という議論を
目にするようになった。しかし私のように自分で勉強する気のない人間は、手を
出してはいけないと思っている。まあ、心配する程の資産を持っていない、とい
うのもあるが。