「内容」
折口信夫の小説『死者の書』を、アニメーション映画化したもの。
(2006年 製作国 日本)
「感想」
奈良時代、陰謀によって24才で処刑された大津皇子。その怨霊を救おうと、
藤原南家の中将姫は祈りと共に一心に布を織り上げ、そこに曼荼羅を描く。
物語の語り手は岸田今日子で、大津皇子の声は能楽の観世銕之丞。
年配の人にはこの2人の名前だけでイメージ出来ると思うが、独特な雰囲気
で、少し怖くも不思議な世界が展開されていく。
人形は、NHKの人形劇『三国志』の川本喜八郎氏が手掛け、シーンによって
は衣装だけではなく 人形も全く表情の違うものを使い、
この人は(他の作品も含めて)生涯に何体の人形を作って来たのかと舌を巻く。
大津皇子の美しさと迫力にも魅せられたが、脇役の人形たちとその声の演技が
また良かった。
背景にはミニのセット、スチール写真、アニメーションを駆使し、人形たちの
動きは一コマずつ写真撮影されたそうだ。
特に風が効果的で、大変手間のかかる作業だったと思う。
川本氏は他にも『川本喜八郎作品集(2007年)』という、短編を集めた作品を出し
ており、こちらもお勧めだ。
以前二男夫婦に川本喜八郎人形館に連れてってもらい、諸葛孔明の人形に対面
した時は、感激で穴があくほど見入ってしまったが、
川本氏は9年前に逝去されており、もう新しい作品が見られないのが残念だ。