「内容」
海難事故で唯一人生き残った少年とベンガルトラの、命をかけた漂流のドラマ。
(主演) スラージ・シャルマ (2012年 製作国 アメリカ) 映画賞受賞
「感想」
インド系カナダ人のパイは、生まれてから16年間、動物園を経営する両親
や兄と共にインドで暮らしていた。
ある日パイは父親から、経営難のため家族でカナダに移住すると告げられ、
動物たちも荷物と一緒に船底に積み込まれた。
しかし太平洋上で海難事故に遭い、船は沈没してパイは唯一の生存者となる。
ライフボートには最初、他の動物も何頭か居て一触即発の状態だったが、順に
死んでいきトラだけが残った。
パイはボートに有った遭難マニュアルを読んで筏を作り、備え付けの缶詰などを
食べながら自分は筏で過ごし、ボートのトラには毎日魚を捕まえて与えていた。
そんな日々を過ごすうちに、最初はトラには恐怖しかなかったのが、餌を与える
ことが生きるための活力となっていく。
延々海の上の話なのに、激しい嵐など次々とアクシデントが起こるため、全く飽
きさせない。特に星空の下の夜光魚や、海中の幻想的な生き物たちの様子は、
スケールが大きくて、見とれるほど美しかった。
漂着した海岸で救助される直前、ガリガリにやせ細ったトラがジャングルへと
立ち去るシーンでは、号泣する彼の気持ちがよく分かり、私ももらい泣きした。
トラの映像の9割近くがCGで、これが本物と見分けがつかない程リアルで美
しく迫力がある。本物のトラはどれか、探しながら観るのも楽しいかもしれない。