小3の時、向かいのアパートに住んでいた大工さんの一家が夜逃げした。
夜逃げする数か月前に、おばさんには4人目の子供が産まれていたのだが、
ある日何故かポロポロと涙を流しながら乳を飲ませていた。
あとで母から、赤ちゃんは夜逃げの前に養子に出されたと聞き、私はおば
さんが可哀そうでならなかった。しかし大家さんはかんかんに怒っていた。
H17年の法改正で自己破産制度が利用しやすくなり、貸金業者の厳しい取り立
てが制限されたこともあって、最近は夜逃げ件数が減少しているという。
自己破産にもデメリットはあると言われるが、しかしこの制度は“逃げたもん
勝ちの法律”と言われるくらい、債務者は守るが債権者は守られない。
ネットで調べると、自己破産をしたいという相談と同じくらい「自己破産され
たが、泣き寝入りしなきゃいけないのか。」という相談がズラッと出てくる。
自己破産処理の対象となるのは金融機関だけではなく、善意でお金を工面して
くれた友人も、義理で保証人なった親戚も、分け隔てなく全て一緒くただ。
債務者が会社の取引先だった場合は連鎖倒産する事だってある。
免責後の任意返済は可能だそうだが、自己破産しても個人の税金関係だけは、
免責されないので(猶予はしてもらえる)、債務者にとって実行は難しそうだ。
だが世の中には、信用を失うことや相手に迷惑をかけることを考えて、自己
破産はせず、色々な和解案の中から実現可能な方法を選択して、頑張って
返済する人も大勢いる。
誰だって失敗することはある。自殺まで考える人には自己破産もやむ無しと思う
が、余程の事情が無い限り、債権者を“被害者”にしない手立てが必要だと思う。